グリーン住宅ポイントは、住宅の購入やリフォームに応じてポイントがつく制度です。ポイントには申請が必要で、2021年3月29日より受付を開始して、2021年12月15日をもって申請を終了しています。
この記事では、実施されたグリーン住宅ポイントの制度内容がどのような内容だったのか? 仕組みや利用実態などを解説します。また、家を建てる方にとって気になる制度である「こどもみらい住宅支援事業」についても紹介します。
この記事の目次
グリーン住宅ポイントとは
グリーン住宅ポイント制度は、新型コロナウイルス感染症による経済の落ち込みの回復を図ることを目的に、一定の性能を有する住宅を購入やリフォームをする人に対して施行された制度。住宅の購入やリフォームに応じてポイントが決まっていました。グリーン住宅ポイント制度は申請が必要で、ポイントは追加工事や商品に交換できました。
グリーン住宅ポイント制度の対象
グリーン住宅ポイントの対象となっていた案件は、「新築住宅の建築・購入」、「既存住宅の購入」、「リフォーム工事」、「賃貸住宅の建築」の4つです。申請は、引き渡し完了前に行い、ポイントの交換期限もあり、スケジュールを確認しながら申請を進める必要がありました。
注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入
注文住宅の新築、もしくは新築分譲住宅の購入で、所有者が自ら居住する住宅が対象でした。
<注文住宅の新築>
2020年12月15日から21年10月31日までの期間内に、工事請負契約を締結したものが対象でした。
<新築分譲住宅の購入>
所有者となる人が、20年12月15日から21年10月31日までの期間内に売買契約を締結したものが対象でした。ただし、住居完成(完了検査済証の発出日)から1年以内のもので、人の居住用に供したことのないものに限ります。
<発行ポイント>
- 高い省エネ性能等を有する住宅:40万ポイント/戸。条件を満たせば60万ポイントが加算されました。認定長期優良住宅や認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅、ZEHが対象でした。
- 一定の省エネ性能を有する住宅:30万ポイント/戸。条件を満たせば30万ポイントが加算されました。日本住宅性能表示基準で定める断熱等性能等級4、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅が対象でした。
<ポイント加算の条件>
下記の条件に当てはまると、ポイントが加算されました。
- 東京圏からの移住のための住宅
- 多子世帯が取得する住宅
- 三世代同居仕様である住宅
- 災害リスクが高い区域からの移住のための住宅
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既存住宅の購入
不動産登記事項証明書において新築と記載された日付が19年12月14日以前の住宅で、20年12月15日から21年10月31日までの期間内に売買契約を締結したもので、所有者が自ら居住する住宅が対象でした。
<発行ポイント>
次の1~4(次項を含む)のいずれかに該当する既存住宅(売買契約額100万円以上(税込))であることが条件でした。
- 空き家バンク登録住宅:30万ポイント/戸
- 東京圏からの移住のための住宅:30万ポイント/戸
- 災害リスクが高い区域:30万ポイント/戸
- 住宅の除却に伴い購入する既存住宅:15万ポイント/戸
1+4,2+4,3+4の場合は45万ポイント/戸、発行されます。
リフォーム
20年12月15日から21年10月31日までの期間内に工事請負契約を締結した、すべての住宅が対象でした。次の1~6のいずれかに該当することが条件でした。
- 開口部の断熱改修:工事内容に応じてポイントを設定
- 外壁、屋根・天井又は床の断熱改修:工事内容に応じてポイントを設定
- エコ住宅設備の設置:工事内容に応じてポイントを設定
- 耐震改修:工事内容に応じてポイントを設定
- バリアフリー改修:15万ポイント/戸
- リフォーム瑕疵保険等への加入:7,000ポイント/契約
1~3のいずれかが必須で4~6は任意でした。
※既存住宅を購入した場合は1~6のポイント数を2倍とします。
注意):1申請あたり1~6の合計ポイントが5万ポイント未満の場合はポイントの発行申請不可です。
<若者(40歳未満)や子育て世帯(18歳未満の子)のポイント加算>
- 既存住宅を購入しリフォームを行う場合:60万ポイント/戸
- 上記以外のリフォーム:45万ポイント/戸
<若者や子育て世帯以外の世帯のポイント加算>
- 安心R住宅を購入しリフォームを行う場合:45万ポイント/戸
- 上記以外のリフォームを行う場合:30万ポイント/戸
賃貸住宅の新築
20年12月15日から21年10月31日までの期間内に工事請負契約を締結したもの。かつ、所有者となる人が、施工者に工事を発注(工事請負契約)して新築するすべての住宅が賃貸用の共同住宅等が対象でした。
<次の① および②に該当する賃貸用の共同住宅等であること(所有者が自ら居住する場合対象外)>
- 建築物省エネ法に基づく住宅トップランナー制度の賃貸住宅に係る基準に適合する:10万ポイント/戸
- すべての住戸の床面積が40平方メートル以上:10万ポイント/戸
グリーン住宅ポイントの申請方法とポイント交換
グリーン住宅ポイントの申請は、2021年3月29日に受付を開始し、2021年12月15日に終了しています。
申請方法は工事完了後と、工事完了前の2通り。申請方法や必要書類、ポイント交換できたものを紹介します。
工事完了前のグリーン住宅ポイントの申請方法
注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、賃貸住宅の新築、リフォーム(請負金額が税込1,000万以上)のような大がかりな工事を行う場合は、事前にグリーン住宅ポイントを申請できました。ただし、工事や家の引き渡しを終えた後に、完了報告が必要でした。また、工事完了前の申請も、「工事請負契約書や売買契約書の写し、住宅証明書の写し」などの書類が必要で、発行対象ごとに必要な書類が違いました。大まかな流れを紹介します。
<大まかな流れ>
- 工事請負契約もしくは売買契約の締結
- 書類を揃える
- ポイントの発行申請を行う
- ポイントの発行
- ポイントの利用
- 工事完了または住宅の引き渡し
- 工事完了の報告
工事完了後のグリーン住宅ポイントの申請方法
基本的には工事の完了、または住宅の引き渡しを終えてから、グリーン住宅ポイントを申請します。工事請負契約書や売買契約書の写し、住宅証明書の写しなどの書類が必要です。工事完了後の大まかな流れを紹介します。
<大まかな流れ>
- 工事完了または住宅の引き渡し
- 必要な書類を揃える
- ポイントの発行申請を行う
- ポイントを発行してもらう
- 発行されたポイントを利用する
グリーン住宅ポイントを交換できる追加工事や商品
取得したポイントは、一定の要件に適合する追加工事や商品と交換できます。それぞれの例を紹介します。
<一定の要件に適合する追加工事>
(1)「新たな日常」に資する追加工事
- ワークスペース設置工事
- 音環境向上工事
- 空気環境向上工事
- 菌・ウイルス拡散防止工事
- 家事負担軽減に資する工事
(2)防災に資する追加工事
<一定の要件に適合する商品>
- 「新たな日常」に資する商品
- 省エネ・環境配慮に優れた商品
- 防災関連商品
- 健康関連商品
- 家事負担軽減に資する商品
- 子育て関連商品
- 地域振興に資する商品
グリーン住宅ポイントと併用できた補助制度・できなかった補助制度
グリーン住宅ポイントは、基本的には国の補助制度と併用できませんでした。しかし場合によっては併用できる場合も。グリーン住宅ポイントと補助制度を解説します。
グリーン住宅ポイントと併用できた補助制度
新築住宅を購入する場合、グリーン住宅ポイントは「すまい給付金や住まいの復興給付金、外構部の木質化対策支援事業の補助制度」と併用できました。既存住宅の購入でも、「すまい給付金や住まいの復興給付金の補助制度」と併用可能です。
グリーン住宅ポイントと併用できなかった補助制度
「地域型住宅グリーン化事業や ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化による住宅における低炭素化促進事業の補助制度」は重複のため併用できませんでした。
場合によってはグリーン住宅ポイントと併用できた補助制度
リフォーム工事対象の補助制度とは併用はできません。ただし、請負工事契約が別の場合や、工期が別である場合は併用できる場合もありました。
グリーン住宅ポイント制度の注意点
グリーン住宅ポイントの申請期限は、2021年12月15日に完了しています。工事完了前に申請した場合は、工事の完了報告が必要でした。
期日は、ポイントの発生対象により異なります。また、計画の変更などで、工事等のポイントが利用した分のポイントを下回った場合、差額を返金しなければなりませんでした。
ポイントの商品交換申し込みにも期限があり、ポイントの商品交換申し込み期限は22年1月15日まででした。
グリーン住宅ポイント制度の実施状況
最後に、グリーン住宅ポイント制度の実施状況をご紹介します。2021年12月時点で予算に対するポイント申請額の割合(概算)は93%でした。予算が効果的に使われたことが分かります。
ポイント申請受付状況
戸数 | 累計 | |
---|---|---|
新築 | 3,611 | 197,110 |
既存 | 57 | 1,241 |
リフォーム | 5,029 | 135,884 |
賃貸 | 86 | 8,694 |
合計 | 8,783 | 342,929 |
ポイント発行状況
戸数 | ポイント | 累計戸数 | 累計ポイント | |
---|---|---|---|---|
新築 | 53,200 | 208 億 7160 万ポイント | 187,264 | 726 億 7780 万ポイント |
既存 | 297 | 8835 万ポイント | 1,032 | 3 億 690 万ポイント |
リフォーム | 37,962 | 38 億 9537.1 万ポイント | 113,444 | 110 億 2622.9 万ポイント |
賃貸 | 2,905 | 2 億 9050 万ポイント | 8,125 | 8 億 1250 万ポイント |
合計 | 94,364 | 251 億 4582.1 万ポイント | 309,865 | 848 億 2342.9 万ポイント |
グリーン住宅ポイント制度に代わる新制度「こどもみらい住宅支援事業」
グリーン住宅ポイント制度は終了しましたが、新しく「こどもみらい住宅支援事業」が設立されています。こどもみらい住宅支援事業は、当初は、2021年11月26日から2022年10月末までとされていましたが、原油高・物価高騰による住宅価格上昇への対策として、2022年3月末までの延長が決定しています。
こどもみらい支援事業とは
こどもみらい支援事業とは、子育て世帯や若い夫婦向けに、省エネ住宅の取得や住宅の改修を支援する事業です。2050年カーボンニュートラル実現の観点から、若年層を支援し、高い省エネ住宅のストックを増やすことを目的としています。
補助金額は、新築の場合、ZEH住宅で100万円、高い省エネ性能等を有する住宅で80万円、一定の省エネ性能を有する住宅で60万円となります。
ただし、一定の省エネ性能を有する住宅は、2022年6月30日までに工事請負契約を締結したものに限ります。
こどもみらい住宅支援事業とグリーン住宅ポイントとの違い
新築住宅に関して家族構成・年齢などの制限がある
こどもみらい住宅支援事業は、新築住宅の場合は、2003年4月2日以降に出生した子供がいる、もしくは、夫婦のどちらかが1981年4月2日以降に生まれた世帯が対象です。中古住宅の購入、リフォームについては全世帯を対象としています。
一方で、グリーン住宅ポイントは、家族構成や年齢による制限は設けられていませんでした。
申請方法に違いがある
グリーン住宅ポイントは、住宅取得者が自分で申請も可能でしたが、こどもみらい住宅支援事業は、住宅の建設や販売をする事業者が申請を行います。
補助の支給方法に違いがある
こどもみらい住宅支援事業は、住宅の建設や販売をする事業者に補助金の振込が行われます。住宅取得者は、補助金を事業者への支払いに充当することや、事業者を通じて現金で受け取ることもできます。
一方で、グリーン住宅ポイントは、住宅取得者へポイントで還元します。ポイントに応じた商品への交換や追加工事費に充てることができました。
こどもみらい住宅支援事業についてはこちらの記事にも詳しくまとめていますので、参考にされてください。
「こどもみらい住宅支援事業」とは?補助内容や対象者、手続きの流れを徹底解説
こどもみらい住宅支援事業に関する概要や対象要件、申請方法などを詳しく解説します。