固定資産税は4年目でどれくらい上がる? 対象となる住宅や対処法

2023年3月24日

戸建て住宅を持つ方の中には、毎年4月~6月に届く固定資産税の課税明細書を確認するとき、緊張感を覚える方もいるでしょう。
一般的な新築木造住宅の場合、3年目で住宅にかかる軽減措置の適用期間から外れてしまうので、4年目から固定資産税の金額が上がります。
ここでは、固定資産税の軽減措置から外れた4年目以降、固定資産税がどれくらい上がるのかについて、わかりやすく解説します。

固定資産税が4年目から上がる理由

固定資産税が4年度目から上がる理由

新築住宅購入から3年間は、新築住宅に係る固定資産税の減額制度により固定資産税が減額されます。

固定資産税は、住宅の所在地を管轄する市町村が課税する地方税です。

(東京23区のみ東京都が課税)

各自治体が課税することから、軽減措置の詳細や名称は各自治体によって異なります。

たとえば、横浜市では「新築住宅に係る固定資産税の減額制度」という名称で、詳細は以下の通りです。

【横浜市の軽減措置を受けられる住宅面積】

120平方メートル以下2分の1
120平方メートルを超え280平方メートル以下120平方メートル相当分について2分の1
※120平方メートルを超える部分は減額されない

参考:新築住宅に係る固定資産税の減額制度 横浜市

【横浜市の軽減措置を受けられる期間】

住宅のタイプ減額期間
3階建以上の準耐火構造および耐火構造住宅新築後5年間
上記以外の一般住宅新築後3年間

参考:新築住宅に係る固定資産税の減額制度 横浜市

横浜市の「新築住宅に係る固定資産税の減額制度」では、3階建以上の準耐火構造および耐火構造住宅以外の新築住宅の軽減措置適用期間は、新築後3年間です。

新築後4年目以降は固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、納税額が上がることがわかります。

固定資産税が上がるのは主に新築木造住宅のみ

固定資産税が4年目から上がるのは、新築住宅における固定資産税の軽減措置を受けられなくなる、新築木造住宅のみです。

固定資産税の軽減措置の適用期間が3年間である住宅の条件を確認しましょう。

以下に該当しない一般的な木造住宅を新築すると、4年目から固定資産税が上がります。

  • 認定長期優良住宅
  • 3階建以上の耐火・準耐火建築物

参考:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局

参考:新築住宅に係る固定資産税の減額制度 横浜市

また、新築の認定長期優良住宅や、マンションなどの3階建以上の準耐火構造および耐火構造住宅は、以下のように軽減措置の適用期間が5年から7年と一般的な木造新築住宅より長めです。

  • 認定長期優良住宅:5年間
  • 3階建以上の準耐火物構造および耐火構造住宅(マンションなど):5~7年間

参考:固定資産税・都市計画税(土地・家屋) | 税金の種類 | 東京都主税局

参考:新築住宅に係る固定資産税の減額制度 横浜市

参考:新築された認定長期優良住宅に係る固定資産税・都市計画税の減額制度 横浜市

※地方によって適用期間や条件が異なる場合があります

たとえば、認定長期優良住宅を新築で購入もしくは建築したケースでは、6年目から上がります。

4年目から上がるのは家屋にかかる固定資産税のみ

固定資産税は、所有している土地や建物に課税される税金ですが、4年目から上がる固定資産税は、あくまでも家屋にかかる分のみです。

土地については、新築住宅における固定資産税の軽減措置は適用されません。

土地にかかる固定資産税は、固定資産評価基準をもとに金額が決められますが、宅地の固定資産税評価額は、土地価格がいくらなのかを国が公表する「地価公示価格」の7割程度になるよう調整されています。

また、固定資産税の他に不動産に対して毎年かかる税金として、市町村が条例で課す「都市計画税」もあります。

都市計画税は新築住宅に対する軽減措置の対象外であるため、4年目で軽減措置が終わることによる影響を受けることはありません。

都市計画税は、固定資産税と一緒に毎年納税通知書が届きます。

納付時に焦らないためにも、毎年の課税額をそれぞれ確認しておきましょう。

固定資産税は4年目でどれくらい上がる?

固定資産税は4年目でどれくらい上がる?

新築木造住宅購入後4年目からは固定資産税の金額が上がることから、あらかじめ税額の見通しを立てておきたい方もいるかもしれません。

住宅を新築購入、もしくは建築して4年目以降、固定資産税がどれくらい上がるか見てみましょう。

4年目の固定資産税は約1.89倍〜約1.94倍に上がる

新築木造住宅4年目の固定資産税は、3年目と比較して約1.89倍〜約1.94倍に上がります。

土地は周辺地価の変動によって金額が変わることから、税額が上がるのは固定資産税のうち住宅にかかる部分のみです。

固定資産税の総額が1.89倍から1.94倍になるわけではないため、注意しましょう。

自分が購入、もしく建てた新築住宅の固定資産税がどれだけ上がるかについての計算方法を、詳しく解説していきますね。

4年目の固定資産税がいくらになるか確認する方法

新築木造住宅の固定資産税がどれくらい上がるかは、総務省の告示である「固定資産評価基準 第二章 家屋 別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」で確認可能です。

「木造家屋経年減点補正率基準表」には、築年数が経過するごとに木造住宅の固定資産税評価額がどれだけ減額するかが記載されています。

たとえば、再建築費が1平方メートルあたり5万5,120円~8万6,320円の住宅であれば、新築から4年が経過した際の経年減点補正率は0.67です。

以下の条件で、3年目と4年目の固定資産税を比較してみましょう。

  • 新築で横浜市にある住宅を購入
  • 住宅の床面積は280平方メートル以下
  • 新築時の固定資産税は15万円
  • 1平方メートルあたりの再建築費は5万5,120円~8万6,320円

  • 3年目(本来の固定資産税):15万円 × 0.7=10万5,000円
  • 3年目(軽減措置適用後):10万5,000円 ÷ 2 = 5万2,500円
  • 4年目:15万円 × 0.67= 10万500円
  • 軽減措置が適用された3年目と4年目の違い:10万500円 ÷ 5万2,500円 = 1.91……

上で示した条件では、4年目は3年目の1.91倍に固定資産税が上昇していることがわかります。

1平方メートルあたりの再建築費別から見る固定資産税の上がり方も、以下で確認しましょう。

  • 5万5,120円未満:約1.89倍
  • 5万5,120円~8万6,320円:約1.91倍
  • 8万6,320円以上:約1.94倍

1平方メートルあたりの再建築費によって経年減点補正率は異なるものの、先ほどの計算方法で同じように計算すると、4年目の固定資産税は3年目と比較して約1.89倍〜1.94倍高くなっていることがわかります。

4年目に固定資産税が上がっても慌てないようにする方法

新築木造住宅を購入もしくは建築すると、築後4年目以降は固定資産税の軽減措置から外れてしまい、納税額が高くなります。

築後4年目以降に固定資産税が上がっても慌てないようにするために、節税方法について把握しましょう。

4年目に固定資産税が上がっても慌てないようにする方法

4年目以降の固定資産税がいくらになるのか把握しておく

4年目以降に自宅の固定資産税がいくらになるのか把握しておくと、年間の支出計画も立てやすくなり、固定資産税が上がっても安心です。

固定資産税の軽減措置の適用から外れてしまった後にどれくらい税額が上がるかは、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋 別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」を参考にすることで、自分でも計算できます。

ただし、自宅の1平方メートルあたりの再建築費なども算出しなければならないため、計算方法は複雑です。

「計算するのが難しい」「大変だ」と感じる方は、新築木造一戸建ての住宅に対する固定資産税は4年目から1.89倍から1.94倍程度上がることだけでも覚えておくと役立ちます。

3年目の固定資産税と比較することで、4年目以降にかかるであろう固定資産税額が把握可能です。

なお、固定資産税の納税額は自治体から毎年4月~6月ごろに郵送される納税通知書に記載されています。

振込用紙の控えを保管したり、家計簿にメモして管理したりすると安心です。

物置やガレージの建築は慎重に行う

物置やガレージも、建築方法や構造によっては固定資産税の課税対象になります。

4年目以降の固定資産税の税額を少しでも抑えたい方は、物置やガレージの建築について慎重に検討しましょう。

以下の条件を満たす構造物は建物として見なされ、固定資産税がかかります。

  • 基礎工事が施されていて土地への定着性がある
  • 屋根と3方向以上の壁で覆われていて室内と屋内が区切られている
  • 自動車の保管など用途が明確な構造物

基礎工事を行って設置したプレハブやガレージは固定資産税がかかるため、設置後の税金やランニングコストも考慮したうえで建築計画を立てるのがおすすめです。

なお、ガレージと同様、自動車の保管場所に使用されるカーポートは、壁に覆われていない屋根だけの構造のため、固定資産税は課税されません。

「自動車の保管場所を用意したいけれど、固定資産税の負担が重くなるのは避けたい」という方は、ガレージではなくカーポートの建築を検討しましょう。

固定資産税をクレジットカードで払う

固定資産税は振込用紙や口座振替で納付する方法だけでなく、自治体によってはクレジットカードや電子マネーでも納付可能です。

横浜市の場合、以下の方法にて固定資産税が納税できますが、お住まいの自治体により支払い方法が異なります。

あらかじめ、住んでいる地域の自治体に確認しましょう。

  • クレジットカード納付
  • スマホ決済(請求書払い)
  • ペイジーによる納付
  • コンビニエンス・ストアでの納付
  • 口座振替
  • 金融機関、郵便局での納付

参考:納付方法 横浜市

クレジットカードや電子マネーによる納付を選択することで、納税額に応じて各サービスで付与されるポイントが貯められます。

ただし、クレジットカード払いによる納税を検討する際は、納税額に応じてシステム利用料がかかる場合があります。

横浜市で、固定資産税をクレジットカードで固定資産税15万円を納付する例について紹介しましょう。

固定資産税15万円を横浜市に納税すると、2023年2月時点でシステム利用料として税込み1,650円かかります。

自治体によっては、ホームページ上でシステム利用料をシミュレーションできることもあるため、固定資産税をクレジットカードで払うときは活用すると便利です。

実際に受け取れるクレジットカードのポイントとシステム利用料を比較して、どちらがお得なのかを計算してみましょう。

もし、クレジットカード払いをして受け取れるポイントよりも、システム利用料が高い場合は、別の納付方法も検討しましょう。

固定資産税を期限内納付する

固定資産税は納税期限が決められていることも忘れてはいけません。納税期限を過ぎてしまうと、経過日に応じた延滞金が発生する恐れがあります。

延滞金の利率は自治体によって異なります。横浜市では以下のように定められていますので、参考にしてみてください。

  • 納期限の翌日から1カ月を経過する日まで:年7.3%
  • 納期限の翌日から1カ月を経過した日から納付した日までの期間:年14.6%
  • 延滞金が1,000円未満の場合には納付する必要がない

参考:延滞金について 横浜市

なお、固定資産税の納税期限を過ぎても、納税通知書で定められた期限が切れていなければ、納税通知書を使って固定資産税の支払いが可能です。

支払い期限が過ぎたから納税通知書を使用できないと誤解し、そのまま放置してしまわないように注意しましょう。

展示場では固定資産税に関する相談も対応できます

展示場では固定資産税に関する相談も対応できます

固定資産税は、戸建て住宅を保有すると毎年発生する税金です。

住宅購入および建築時には、ランニングコストのひとつとして資金計画に含めなければなりません。

一般的な新築木造住宅では、3年目までに適用されていた住宅にかかる固定資産税の軽減措置期間から外れた、4年目から課税額が上がります。

4年目以降は3年目と比較すると、固定資産税が約1.89倍〜約1.94倍まで上がることを覚えておかなければなりません。

「固定資産税の金額が急に上がってしまった!」と慌てないためにも、ここで紹介した内容を参考に、前もって固定資産税がいくら上がるのか計算しておきましょう。

固定資産税を含めた資金計画や計算は、自分でもできますが、住宅展示会でも相談できます。

資金計画や住宅購入後の収支プランなどの悩みがある方は、住宅展示場で気軽に相談してみてくださいね。