住宅建築を検討する際に、おしゃれなインナーテラスに憧れを持つ方もいるでしょう。働き方が多様化しつつある近年、在宅勤務により家にいる時間が増えた方も一定数います。家にいる時間が増えつつあることから、リフレッシュ空間として役立つインナーテラスは人気です。
この記事の目次
インナーテラスとは?
インナーテラスは「インナー」の言葉が示すように、屋内もしくは半屋内に作られたテラスのことです。
通常のテラスは、建物の外に一段高く作られたスペースを指し、一般的には1階の居室の床続きに作られます。
一方のインナーテラスは、住宅の外壁より内側に作られ、壁や屋根などの囲いがあることが特徴です。
天候を気にせずに利用でき、屋内に位置しながら屋外空間の雰囲気を味わえるため、さまざまな場面で活用できるでしょう。
インナーテラスとインナーバルコニー、サンルームの違い
インナーテラスと類似して混同しやすいのが、インナーバルコニーとサンルームです。
インナーテラスとインナーバルコニー、サンルームの主な違いを表にまとめました。
【インナーテラス・インナーバルコニー・サンルームの主な違い】
インナーテラス | インナーバルコニー | サンルーム |
・住宅の外壁より内側に作られる ・壁や屋根などの囲いがある |
・基本的に2階以上に作られる ・屋根や壁で完全に囲われていない |
・ガラス張りになっている ・庭先にせり出している |
インナーバルコニーは2階以上に作られます。
建物の外側に作られる通常のバルコニーとは違い、建物の内側に引っ込んだ屋根付きのバルコニーです。
サンルームは、屋根や壁をガラス張りにして日光が当たるようにした部屋を指します。基本的な構造は、庭先にせり出す形です。
インナーバルコニーについてはこちらで解説しています。
おしゃれなインナーバルコニーは実用性も魅力!新築計画時の注意点も解説
第二の庭としてさまざまな使い方ができるインナーバルコニーは、見た目もおしゃれ。新築なら一から憧れのインナーバルコニーが設計できるのが魅力です。そこで本記事では、インナーバルコニー設計のコツや、設計にあたって気を付けたいポイントを紹介します。
インナーテラスの費用相場はどれくらい?
インナーテラスをつくりたいと考えたとき、気になるのは費用ではないでしょうか。
ここでは、既存住宅の一部をリフォームしてつくる場合と、注文住宅でインナーテラスをつくる場合の費用例について取り上げます。
既存住宅の一部をインナーテラスにリフォームする場合
既存住宅の一部をインナーテラスにリフォームする費用相場は、施工方法や施工場所、追加したい設備によっても変化がありますが、1坪あたり約50万円程度が目安です。
インナーテラスには、リビングや居室の一部をリフォームするケース、テラスやベランダに壁や屋根をつけてリフォームするケースなどさまざまな方法があるため、費用相場も大きな幅が出やすくなります。
すでに具体的なプランがあれば、ハウスメーカーの無料見積もりサービスなどを利用して、確認してみましょう。
注文住宅でインナーテラスをつくる場合
注文住宅では、住宅本体の工事としてインナーテラスが取り扱われるため、インナーテラスだけの費用相場を出すのは困難です。
ここでは、インナーテラスつき注文住宅の建築費用の一例を挙げてみます。
32坪木造2階建て3LDKインナーテラスつき注文住宅を例にすると、住宅建築にかかる費用は約2,500万円です(土地代含まず)。
あくまで一例であり、坪数やインナーテラスの面積、設備によっても費用は大きく変わります。
具体的に確認したい方は、ハウスメーカーや住宅展示場の担当者にインナーテラス付きの住宅見積もりを依頼するほうが無難です。
インナーテラスのメリット
インナーテラスを検討するなら、メリットとデメリットは押さえておきたいですよね。
インナーテラスのメリットから確認しましょう。
天候を気にせずに利用できる
インナーテラスの大きなメリットは、天候に左右されずに使える点です。
雨や雪、強風の日など通常なら屋外活動がしにくい日も、屋外の気分を味わえます。
また、冷暖房の設備を備えれば、暑さや寒さも気にならないインナーテラスが作れるでしょう。
室内外のはっきりした境がなく、広い空間を演出できる
インナーテラスは建物の内部に作られるため、通常のテラスと異なり、室内外のはっきりとした境はありません。
そのため、インナーテラスも居住空間の一部として利用でき、広い空間を演出できます。
居住空間とインナーテラスの境界線をあえてあいまいにしてリビング続きにしたり、フルオープン可能な間仕切りを使って自由に開閉できる設計にしたりすれば、さらに開放感ある空間を生み出せるでしょう。
汚れを気にせず利用しやすい
インナーテラスの床材を汚れに強い素材にすれば、汚れを気にせずに使える場所になります。
インナーテラスでバーベキューをしたり、アートなどの趣味を楽しんだりするスペースにしてもよいでしょう。
洗濯物の室内干しスペースにもなる
インナーテラスは天候を気にせず利用できるため、室内干しスペースとしても重宝します。
悪天候の日に室内干しをすると、半乾きの匂いが気になったり、部屋に湿気がこもってしまったり……。肝心の洗濯物も乾くかどうか心配になりますよね。
インナーテラスを設置すると、風の出入り口が確保されるので風通しが良くなります。さらにサーキュレーターを併用すれば、より室内でも洗濯物が乾きやすくなるでしょう。
日当たりのよい南向きにインナーテラスを設計することで、外干しと同じように洗濯物を干せるようになるので便利です。
来客用スペースとしても活用できる
インナーテラスは、来客スペースとしても活用できます。
友人が訪れた時や、急な来客でリビングの片付けが間に合わない時は、もう1つのリビングとしてインナーテラスを活用してはいかがでしょうか。
プライバシーを確保しながら開放的に過ごせる
インナーテラスは室内にあるため、高い壁や目の細かい柵にするなど設計次第ではプライバシーが守られます。
周囲からの人目を気にせず、家族だけで開放的に過ごせるでしょう。
子どもの安全な遊びスペースを確保できる
インナーテラスは子どもの遊び場としても役に立ちます。
道路への飛び出しから、子どもを守るだけではありません。子どものプライバシーも確保されることから、防犯上のメリットも期待できます。
お子様のいるご家庭では、プール遊びや絵の具遊びなどで子どもも思いっきり遊べるように、。水や汚れに強い床材を選択するのがおすすめです。
インナーテラスのデメリット
使い勝手のよい面もあるインナーテラスですが、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
デメリットとも比較したうえで、インナーテラスを取り入れるかどうかを検討しましょう。
一般的なテラスよりコストが高い
外溝工事となるテラスと異なり、インナーテラスは住宅の本体工事です。
屋根の工事や壁断熱材、壁など内装工事が必要になるため、一般的なテラスを設置するより費用が高くなってしまうこともあります。
建築面積に算入され、固定資産税が上がる可能性が高い
インナーテラスの設置により、固定資産税が上がる可能性があることもデメリットの1つです。
住宅の固定資産税の算出に関わる要素の1つに、建築面積があります。
建築面積とは、屋根や柱、または壁がある構造の建築物の面積のことです。
例えば、壁で囲まれていない通常のテラスや、突き出し部分が1メートル以下のテラス、屋根がない中庭などは、建築面積に影響しません。
一方、インナーテラスは屋根や壁がある建物と考えられ、建築面積に影響することがあります。
建築面積にカウントされると固定資産税の算出要素に加わるため、中庭などをつくるよりも、固定資産税が上がる可能性があることを考慮しなければなりません。
動線が悪いと使いにくい・デッドスペースになりやすい
室内につくるインナーテラスは、動線が悪いと使いにくくなり、デッドスペースになりやすいです。
インナーテラスをどのように使うか事前にイメージし、目的や動線などをしっかり考えてからつくる必要があります。
隣接する部屋が狭くなる、暗くなるケースがある
インナーテラスは室内につくる空間という点から、他の間取りが狭くなることを理解しないといけません。
狭くなる問題については、リビングを兼ねてインナーテラスを使うなど、他の部屋と併用する改善案が考えられます。
また、インナーテラスには基本的に屋根があるため、隣接する部屋への光が遮られ、暗くなるケースがある点にも気を付けましょう。
おしゃれで便利なインナーテラスの実例集
ここでは、おしゃれで便利なインナーテラスの実例を紹介します。希望するインナーテラスの候補を決める際に、ぜひ役立ててください。
趣味のための作業場として活用
インナーテラスを作業場として活用する例は多いです。
趣味の絵画や工作を楽しんだり、大切な自転車のメンテナンスを行ったりしてもよいでしょう。
また、インナーテラスの開放感を利用して、ガーデニングをして植物を親しむこともできます。
インナーテラスを、好きなことに夢中になる自分だけの工房のように使ってみてはいかがでしょうか。
在宅勤務などワークスペースとして利用
在宅勤務が定着し、自室にワークスペースが欲しいと感じる方も増えつつあります。
壁や屋根で囲いがあるインナーテラスなら、静かな環境も整えやすく、オンラインミーティング時に問題になりがちな周囲の騒音も気になりません。
インナーテラスをワークスペースとして利用する際は、空調設備をきちんと備えることで、より快適に過ごせます。
寝室続きにつくり、ホテルのような空間を演出
寝室続きにインナーテラスをつくり、リゾートホテルのような空間を演出するのもおすすめです。
インナーテラスに、リラックスできるロッキングチェアやリクライニングチェア、テーブルを置いて、就寝前にゆったり飲み物を飲みながら過ごしてみてはいかがでしょうか。
玄関から続けて広々とした土間空間に
玄関から入った先に土間のインナーテラスを設置することで、広々とした空間をつくれます。
土間は、昔ながらの日本の住宅にある外と内を繋ぐ土足で歩ける空間です。
現代の土間は玄関の一部として扱われることが多いですが、インナーテラスとして取り入れれば玄関を開けた時に視界が広がり、明るさも生まれます。
土間のインナーテラスに植物を植えて、自然を感じさせるのもよいですね。
採光対策にも有効な中庭のインナーテラス
中庭と合体させてインナーテラスをつくれば、自然光による採光対策にも有効です。
自然光と温かさを取り入れた、心地よい空間ができるでしょう。
中庭の床には土を入れるのではなく、コンクリートや継ぎ目の少ない床材を敷けば、日々のお手入れも楽になります。
実用的なインナーテラスの洗濯室
インナーテラスのメリットを生かして、実用的で使い勝手のよい専用洗濯室として使うこともおすすめです。
特に、花粉や黄砂が気になり、屋外に洗濯物を干したくないときは、室内干し専用の洗濯室は重宝するでしょう。
インナーテラスを専用の洗濯室とするのであれば、風の出入り口の確保だけでなく、サーキュレーターなどの換気設備も必要です。
リビング続きの開放感いっぱいのインナーテラス
リビングに続けてインナーテラスをつくれば、たっぷりとリビング空間が広がります。
インナーテラスにもリビングと同様、テーブルやソファなどを備えておけば、2つのリビング空間の確保が可能です。
例えば友人親子を招いた時、親はリビングで見守りながらくつろぎ、子どもたちはインナーテラスでゆったり遊ぶといったスタイルも取れるでしょう。
また、インナーテラス自体を完全にリビングにしてしまう方法もあります。
開放感あるインナーテラスでくつろぎ空間をゲットしよう!
天候にかかわらず利用でき、屋内で屋外にいるような雰囲気を味わえるインナーテラスには、魅力的なメリットがたくさんあります。
多様なスタイルで使えるインナーテラスのメリットを生かし、利用目的を明確にイメージしたうえで、住宅に取り入れてみてはいかがでしょうか。
住宅展示場には、インナーテラスを備えたモデルルームもあります。
実際にインナーテラスを見ることで、自分の希望するイメージづくりにに役立つでしょう。
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