家族や自分を守る台風対策。 台風が来る前に準備することは?

2024年2月11日

初夏から秋にかけて日本に上陸する台風。最近では、地球温暖化や気候変動によって、かつてないほどの大雨やゲリラ豪雨、それによる洪水の発生など風水害も、激甚化しています。

「いつもの台風と同じだろう」と思っていると、家屋に想定外の被害を受ける可能性があります。改めて台風対策を見直してみましょう。

ここでは、台風が来る前の準備や避難するときの心得、災害発生時にないと困るものをチェックしましょう。

普段から取り組みたい台風対策

災害準備リストを持つ人

台風に備えるため、家の中や外の対策、備蓄品の確保や避難先の確認をしておきましょう。普段から取り組んでおきたい台風対策について紹介します。

家の外の台風対策

まず、屋根・雨どい・ベランダ・バルコニーなどに傷みや壊れたところはないかをチェックしましょう。放置していると、強風によって破損したり破片が飛んでいったりするかもしれません。また、側溝やベランダの排水溝にゴミが溜まっていると台風が来たときに水が溢れる可能性があるので、普段から小まめに掃除しておくのがベターです。

家の中の台風対策

家の中に関係する場所のうち、台風によるダメージが懸念されるのは窓ガラスです。強風による飛来物で窓ガラスが割れてガラス破片が室内に飛散しないように飛散防止フィルムを貼っておくと良いでしょう。

また、窓際に重い物を置くと倒れて窓が割れることがあります。万が一に備えて、普段から窓際には物を置かないことをおすすめします。

もしものための備蓄

台風が来ると、ライフラインへの影響が懸念されます。いざというときに備えて、最低でも3日分の食料や飲料水を備蓄しておきましょう。特に水は重要で、大人1人につき1日2~3Lを目安に飲料水を用意すると安心です。飲料水以外に、生活に使う水も準備が必要です。湯船に水をためて、生活水として活用できるように備えましょう。

また、冷凍庫に保冷剤を凍らせておくと、停電で冷蔵庫がとまっても、ある程度冷気を維持することができます。

この他、懐中電灯、カセットコンロ、バッテリー、携帯ラジオ、簡易トイレなども備えておきたいところです。避難所に行くことも想定して、避難所に持ち込むべき物も確認しておいてください。

もしものための持ち出し品

緊急時にいつでも避難できるように、リュックサックに、最低限1日過ごせることを目安に持ち出し品を準備しておきましょう。

食料や水、防寒用の衣料はもちろんのこと、貴重品(印鑑、現金など)も忘れないように対策をとっておくと安心です。

防災気象情報と警戒レベルを確認しておく

自治体や気象庁から発せられる、防災気象情報や警戒レベルの意味を確認しておきましょう。これを知らないと、今、自分や家族がどのような状況に置かれているのか、適切な判断ができずに避難が遅れてしまうこともあります。

防災気象情報の警戒レベルは5段階にわかれており、数字の1は危険性は低く、数字が増えるごとに危険度が増し最大は5になります。

警戒レベル1:災害への心構えを高め、防災気象情報などに留意する。
警戒レベル2:避難行動の確認を行う。ハザードマップで避難経路、避難先を確認する。
警戒レベル3:自治体からの高齢者などの避難指示が発令されるレベル。
       高齢者以外も、状況に応じて自主避難する。
警戒レベル4:自治体から避難指示が発令されるレベル。
       発令がなくても、状況に応じて自主避難する。
警戒レベル5:自治体から緊急安全確保が発令されるレベル。
       既に災害が起こっている可能性が高く、
       命の危険がせまっているため、身の安全の確保をする。

防災気象情報と警戒レベルとの対応について(気象庁)

正常性バイアスを知り意識しておく

再三の警報や警告にも関わらず、逃げ遅れてしまうケースがあります。この理由のひとつに正常性バイアスがあります。

正常性バイアスとは、警報がなり危険がせまってきていても「いつものこと、大丈夫だ」、「まわりも避難していないし大丈夫だろう」と考えてしまう心理状態です。

正常性バイアスは、心を落ち着かせる良い効果もありますが、思考停止状態にも陥ります。その結果、逃げ遅れてしまうリスクも生みます。

これを防ぐには、「災害時には正常性バイアスが働き危険だ」ということを知り、意識することです。災害時には、自分が正常性バイアスに陥っていないか、必ず自問自答しましょう。また、家族にも、正常性バイアスを意識するように伝えましょう。

避難先の確認と共有

台風の通り道によっては、居住地に避難指示が出されることも考えられます。ただし注意したいのが、指定される避難所・避難場所が災害の種類によって異なる可能性がある点です。どこに行けば良いのか、事前にきちんとチェックしておきましょう。また、避難するときはルートの確認も必須です。事前にハザードマップを入手し、安全なルートを選べるようにしていてください。

また、家族と避難場所の情報の共有や、連絡がとれなくなったとき、はぐれてしまったときのルールを決めておくとよいでしょう。

台風対策、接近直前の準備【家の外】

雨の日の窓

台風が来る前に、家の外にあるものを移動させたり、故障しているところがないか点検したりしましょう。それでは、台風が来る前にしておきたい外の準備を紹介します。

風で飛ばされそうなものを固定または屋内へ移動する

屋外に植木鉢やレジャー用品などを置きっぱなしにしている場合は、屋内へ移動させてください。樹木は枝が折れたり飛んだりする恐れがあるため、ロープなどでくくったり剪定をして低くしたりしておきましょう。自転車がある場合は、自転車やカバーをしっかりと縛り、飛ばないようにすることも必要です。

この他に注意したいのは、ベランダやバルコニーです。物干しや掃除用品などを置いている場合は、すべて家の中に入れてしまってください。

風が吹き込みやすい場所をふさぐ

外からの強風が家の中に吹き込むと、屋根が飛ぶことも考えられます。床下の換気口・玄関に付いた郵便受けなど、風が吹き込みやすい場所はふさいでしまいましょう。

郵便受けはガムテープなどを貼り付ければ問題はありません。床下は土のうなどを準備して、しっかりふさいでください。

家の周りの側溝や排水溝を掃除する

台風では豪雨による浸水も懸念されます。水量が増してもきちんと水が流れていくよう、家の周囲の側溝や排水溝は詰まらない状態にしておくと安全です。側溝や排水溝を開けて落ち葉やゴミがたくさんあれば、取り除いて水はけを良くしておきましょう。

台風対策、接近直前の準備【家の中】

水をためた浴槽

台風が来ると分かったら、窓ガラスを補強したり水を確保したりといった対策が必要です。ここでは、家の中でしておきたい台風準備について紹介します。

窓を閉めて補強

台風が接近してきたら、窓や雨戸、シャッターをしっかり閉めて雨風を防ぎます。強風によって窓が開くこともあるので、カギまでかけておくと安心です。また、飛来物により窓が割れて、室内にガラスの破片が飛散する可能性があります。カーテンを締め、飛散防止フィルムを貼っていない場合は、養生テープを貼って備えましょう。養生テープがない場合は、窓にダンボールを当ててガムテープで固定するのもおすすめです。

また、怪我を防止するために、窓際から離れて過ごすようにしましょう。

水の確保

災害が発生したとき、断水となる恐れがあります。もしものときも水に困らないよう、飲料水はもちろん、生活用水用としての水もためておきましょう。ペットボトルや水筒の他、鍋や浴槽、バケツなども活用してください。

浸水への備え

大雨で河川が氾濫し床上浸水するリスクもあります。床下・床上浸水に備え、土のうや水のうを準備しておきましょう。土のうは自治体に連絡すれば、自宅まで届けてくれることがあります。また水のうは、二重にしたゴミ袋やレジ袋に半分くらい水を入れて縛るだけで完成するので、こちらもすぐに準備できるでしょう。

洗濯機・洗面所、キッチン・トイレの排水口から水が逆流することもあります。洗濯機・洗面所の排水口はふさぎ、キッチン・トイレには水のうを置いて備えることも忘れてはいけません。

また、貴重品は2階に移動し、家電のコンセントは水に浸るとショートや漏電を起こす可能性があるので、感電をさけるためにも電源からコンセントを抜いておきましょう。

食事や入浴などは済ませておく

断水や停電が起きるかもしれません。食事や入浴、ほかに電気、ガス、水道の使用は台風が来る前に済ませておきましょう。

家族と避難について再確認しておく

ハザードマップや、避難所の場所、家族と離れてしまったときの対応など、家族と共有し再確認しましょう。

台風対策、接近時の避難準備

水に浸かった家

台風がひどくなったら、早めに避難しなければなりません。どこに避難するか、いつ避難するかを適切に判断できるようにしておきましょう。台風で避難するときにすべきことを紹介します。

避難するタイミングの確認

基本的には、土砂災害警戒情報(警戒レベル4相当情報)が発せられたら避難します。近くの避難所や安全な場所に移動しましょう。ただし、避難するときは車を使用せず、緊急車両が活動しやすいようにしておくのが鉄則です。

しかし、既に強風が吹き荒れている場合は移動する方が危険かもしれません。その場合は自宅を離れずに、そのまま待機しましょう。

ブレーカー・ガス・戸締まりの確認

避難すると決めたら、まずはブレーカーを落とします。家に何らかの被害があった場合、通電している電化製品から火災が発生する恐れがあるからです。ガスについても爆発の懸念があるため、ガスの元栓もしっかりと閉めておいてください。

また残念なことに、災害を狙った空き巣被害も珍しくはありません。避難所で家を空ける場合は、戸締まりの確認も必須です。

台風のときに準備不足で困った事例

空になった棚

台風によって災害が起きたときは、養生テープ・ブルーシート・備蓄品の用意、現金の有無、家族との連絡手段、スマホの使い方や充電などで困ることがあります。それぞれの詳細をチェックし、最悪の事態から逃れられるようにしておきましょう。

必要なものが売り切れで買えない

台風が来るときは、養生テープやブルーシートが飛ぶように売れます。備蓄用の食料や防災グッズ、水なども売り切れやすいため、入手困難になりがちです。「必要なものが手に入らなかった…」と不安にならないよう日頃から備えておきましょう。

現金不足で買い物できる場所が限られる

停電すると、電子決済ができないので支払はどこも現金のみの対応となるかもしれません。もちろんその場合はATMも止まってしまうため、キャッシュレスが習慣化している人は不便してしまいます。どんな状況でも必要なものが購入できるよう、常にある程度の額の現金を確保しておいた方が良いでしょう。

家族との連絡方法がわからず安否が確認できない

家族と連絡できなくなったときに備え、普段から緊急時の連絡方法について取り決めておくのがおすすめです。災害時に役立つサービスとしては、通信会社提供の「災害用伝言版サービス」、Google提供の「パーソンファインダー」などがあります。これらは伝言板や安否確認手段として活用できるので、家族で共有しておくと安心です。

スマホの充電不足で連絡・情報収集が困難に

停電時にスマホが使えなくなると、いざというときの連絡手段、情報収集が難しくなります。停電時でもスマホを使えるよう、充電器は家族分備えておいてください。

また、スマホでの安否確認や災害情報収集にはTwitterが便利です。正しい情報を手に入れられるよう、地方自治体やメディアなどの公式アカウントを確認しておきましょう。また、被災地域には公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fi)「00000JAPAN」が無料開放されるので、こちらも活用すると良いでしょう。なお、スマホの設定で緊急速報がオンになっているかどうかも、忘れずに確認しておきましょう。

台風が来る前にできる対策をしておこう

もしものときについて考える人々

台風が来る前には、家の中や外を点検した上で備えをするべきです。万が一避難する場合に備えて、避難場所やルートを確認することも必須。台風の接近が分かったら、直撃後も速やかに適切な行動が取れるよう、家族や自分を守るための備えを万全にしておきましょう。