固都税とは?固定資産税・都市計画税の計算方法・納付方法を解説

2023年5月8日

固都税という言葉を初めて知る人も多いでしょう。固都税とは固定資産税と都市計画税を合わせた言葉であり、どちらも不動産の所有者に課税される税金です。戸建て住宅を購入すると、住宅にかかる税金を納付しなければなりません。計算方法や納付方法をあらかじめ把握することで、しっかりと家計の支出を計画できます。

ここでは、固都税について計算方法や納付方法についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

固定資産税についてはこちらの記事で解説しています。

監修者 村瀬 紀美子

税理士。大手税理士法人勤務後、平成17年村瀬紀美子税理士事務所開業。近年は、相続税等の資産税に関する申告業務およびセミナー講師を中心に活動。相続手続から遺品整理、空家売却、相続登記、税務申告をまとめて行う『川越相続の窓口』を結成し、多数の税務相談や申告依頼に対応している。

固都税とは

固都税は、1月1日時点で不動産を所有している人に課税されます。

ただし、都市計画税に関してはすべての不動産に課税されるわけではありません。固定資産税と都市計画税についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

固定資産税とは

固定資産税とは、1月1日時点で土地や建物の所有者に対して課税される税金です。

固定資産税は、市町村が課税する地方税ですが、東京23区内に限っては特例に基づいて都が課税を行います。

横浜市の固定資産税の概要例は、下記の通りです。

納税者 1月1日時点で不動産を所有している人
税率 1.4%(横浜市の場合)
納期 4月、7月、12月、翌年2月(横浜市の場合)

都市計画税とは

都市計画税とは、固定資産税と同様に1月1日時点で不動産を所有している人にかかる税金です。

ただし、都市計画税はすべての不動産に対して課税されるわけではありません。都市計画法の都市計画区域のうち原則として市街化区域内に不動産を所有している人のみにかかります。

固定資産税同様に市町村に収める地方税ですが、東京23区内に関しては特例に基づいて都に納税します。

横浜市を例に挙げると、都市計画税は下記の通りです。

納税者 1月1日時点で市街化区域内に不動産を所有している人
税率 0.3%(横浜市の場合)
納期 4月、7月、12月、翌年2月(横浜市の場合)

固都税の納税方法・納付時期

続いて、固都税の納税方法や納付時期について見ていきましょう。固都税は所得税や贈与税と異なり自分で申告する必要はありません。

毎年4~6月頃になると納税通知書が不動産の住所地を管轄する市町村(東京23区は東京都)から届きます。

納税方法

固都税の納税方法は複数あり、納税者が自由に選べます。

横浜市の場合は、下記の6通りの方法が選択可能です。それぞれの支払い方法のメリットとデメリットは下記の通りですので、参考にしてみてください。

支払い方法 メリット デメリット
スマホ決済(請求書払い) ・自宅や職場などから支払い可能
・スマホ決済サービスのポイントが付与される
・領収書が発行されない
クレジットカード払い ・自宅や職場などから支払い可能
・クレジットカード会社のポイントが付与される
・システム利用料がかかる
・領収書が発行されない
ペイジー ・自宅や職場などから支払い可能 ・領収書が発行されない
・一部利用できないインターネットバンキングがある(ATMでは利用可能範囲が限られる)
コンビニ払い ・さまざまなコンビニで手軽に支払い可能 ・コンビニに行く必要がある
・バーコードが印刷されていない納付書は利用できない
口座振替 ・手数料がかからない
・一度手続きをすれば納期限に自動引き落としされるので払い忘れを防げる
・口座振替手続きが必要
・領収書が発行されない
金融機関や郵便局払い ・手数料がかからない
・領収書をその場で受け取れる
・金融機関や郵便局に行く必要がある

納付時期

固都税の納付時期は、不動産の住所地を管轄する自治体によって異なります。納税通知書に同封されている納付書に期限が記載されているので、確認しておきましょう。

横浜市の場合は、下記の通りです。なお、納期限が土日祝日の場合にはその翌日が納期限となります。

第1期 4月末日
第2期 7月末日
第3期 12月末日
第4期 翌年2月末日

上記のように、固都税の納期限は4期に分かれていますが、一括納付も可能です。ただし、一括納付をしても割引等が受けられるわけではありません。

固都税の納付書は、納期限が過ぎていても納付書の取扱期限までは使用できますが、期限を過ぎると延滞金が発生し、督促状が届くこともあるので注意が必要です。固都税は、必ず納期限を守りましょう。

【種類別】固定資産税の計算方法

土地や建物を購入した場合には、それぞれの固定資産税が毎年かかるので資金計画を立てておくことが非常に重要です。

固定資産税は横浜市の場合、土地・建物どちらにおいても固定資産税評価額×1.4%で計算ができます。土地と建物それぞれの固定資産税評価額、固定資産税の計算方法について確認していきましょう。

固定資産税評価額について

土地には、総務大臣が定める固定資産評価基準をもとに固定資産税評価額が設定されています。おおよその土地の固定資産税評価額は、固定資産税路線価×土地面積で算出が可能です。

固定資産税路線価は、下記のサイトで確認できます。

土地総合情報システム|国土交通省
路線価公開|東京都主税局
全国地価マップ

上記計算に、土地の状況に応じた補正計算を行うことで固定資産税評価額が決まります。

建物は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき、再建築価格により評価します。評価を行う際は実地調査によって固定資産税評価額を決定し、土地と同様3年に1度評価の見直しが行われます。

これらの固定資産税評価額は、マイホームなどを所有していれば納税通知書に記されているほか、評価証明書を請求することで確認できます。ただし、新築住宅の場合は、購入した翌年にならないと正確な固定資産税評価額は分かりません。

固定資産税評価額は、3年に1度の評価の見直しタイミングがありますが、地目の変換や土地の分筆・合筆があった際にも見直しが行われることも覚えておきましょう。以上のことから、地価と固定資産税評価額の関係が著しく崩れることはありません。

固定資産税の計算方法

固定資産税の計算方法は、「固定資産税評価額×税率1.4%(横浜市の場合)」です。

横浜市以外でも固定資産税の税率はほとんどの自治体で1.4%です。

一方で、市町村の判断により標準税率の1.4%以上を課していることもあります。住んでいる地域の自治体が適用している税率については、前もって問い合わせのうえ、確認しておくと安心です。

では、実際に計算してみましょう。

たとえば、所有している土地の固定資産税評価額が3,000万円、建物の固定資産税評価額が2,000万円であった場合の固定資産税の金額は以下です。

<税率1.4%の自治体の場合>

土地) 3,000万円×税率1.4%=42万円
建物) 2,000万円×税率1.4%=28万円

新築住宅の固定資産税の減額特例

固定資産税には、土地と建物それぞれ減額措置が設けられています。これから不動産を購入する人に関わってくるのは主に、住宅用地の課税標準の特例と新築住宅の課税標準の特例です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

住宅用地の課税標準の特例

住宅用地の課税標準の特例とは、住宅用の建物が建設されている土地に対して固定資産税を最大6分の1まで減額する制度です。減額される割合は、土地の広さに応じて下記のように決められています。

※2024年3月31日までに所有した場合に適用

住宅用地の面積 減額割合(固定資産税) 減額割合(都市計画税)
200平方メートル以下の部分 税額×6分の1 税額×3分の1
200平方メートルを超える部分 税額×3分の1 税額×3分の2

住宅用地とは、住宅用の建物が建設されている土地ですので、以下の土地は特例を適用できません。

【特例が適用できない土地】

  • 住宅用の建物を建設予定の土地
  • 住宅用の建物を建設中の土地

一方、建て替えで一時的に住宅がない場合は、住宅用地の課税標準の特例を適用可能です。

新築住宅の課税標準の特例

新築住宅に関しては、建設後一定期間は固定資産税の減額制度が用意されています。

新築住宅の課税標準の特例を利用するには、自治体によって申告が必要です。申告は新築した翌年の1月31日までに行う必要があるので、お住まいの自治体に事前に確認しておきましょう。

※2024年3月31日までに所有した場合に適用

適用要件は下記の通りですので、参考にしてみてください。

種類 床面積
専用住宅 50平方メートル~280平方メートル(一戸建て以外は40平方メートル~280平方メートル)

上記に当てはまる建物の場合には、120平方メートルまでの固定資産税が2分の1に減額されます。

なお、住宅用地の課税標準の特例と異なり、新築住宅の課税標準の特例では都市計画税は減額されません。

減額期間は住宅の種類によって下記のように決められています。

マンション 新築後5年
戸建て 新築後3年

その他の特例

固定資産税の減額制度には、これまで紹介した以外にもいくつかあります。

【その他の固定資産税の減額制度】

  • 新築の認定長期優良住宅における固定資産税および都市計画税の減税
  • 耐震改修した住宅における固定資産税および都市計画税の減税
  • バリアフリー改修した住宅における固定資産税の減税
  • 省エネ改修した住宅における固定資産税および都市計画税の減税

上記のように、新築や増改築した場合、一定期間固定資産税が減額されるものが多いです。

各制度の適用要件に関しては、リフォームを依頼するハウスメーカーや工務店、所在地の自治体に尋ねてみてもよいでしょう。

都市計画税の計算方法

次に、都市計画税の計算方法について見ていきましょう。

都市計画税は、「固定資産税評価額×0.3%」で計算できます。例えば、土地4,000万円(住宅用地の課税標準の特例適用(200平方メートル以下の土地))、建物2,500万円にかかる都市計画税は、それぞれ下記の通り表せます。

【都市計画税の計算例】

  • 土地:4,000万円×0.3%=12万円
  • 住宅用地の課税標準の特例適用後(200平方メートル以下の土地):12万円×3分の1=4万円
  • 建物:2,500万円×0.3%=7.5万円

上記のケースでは、都市計画税は年間4万+7.5万円=11.5万円かかります。

【補足】不動産購入時に固都税を清算する場合

不動産を購入する時は、年の途中で購入することがほとんどです。その場合、固都税の納付はどのように扱われるのでしょうか。

購入先が不動産業者であるケースでは、売買契約書に固都税の日割り清算を盛り込むことが一般的です。日割り清算とは、所有期間の割合に応じて売主と買主が課税を負担することを言います。

また土地は非課税であるものの、建物に消費税が課せられます。「固都税」だから非課税だと思われる方も多いでしょう。しかし、建物部分に関しては固都税を売却代金と別に清算したとしても、清算金額は売買代金に含まれる(消費税法基本通達10-1-6)ため消費税がかかることに注意する必要があります。

個人間売買の場合、消費税は発生しません。

また、売主が固都税を全額納めることに両者が納得していれば問題はありません。

参考:第10章課税標準及び税率「第1節課税資産の譲渡等」|国税庁

固都税を理解して、資金計画は入念に

固都税は住宅購入後に毎年かかる税金なので、あらかじめ資金計画に加えておくと安心です。

固都税の計算方法や適用できる特例など不動産についての不明点は、住宅展示場でもご相談いただけます。ご予算や家族構成、理想のライフスタイルなどをお気軽にご相談ください。きっとあなたにぴったりの暮らし方が見つかるはずです。