3階建て以上の多層階住宅とは? 空間を上へ伸ばして敷地をフル活用!

2023年5月12日

首都圏など都市部では土地の値段が高いこともあり、広い敷地に住宅を建てるのは難しいですよね。
土地を購入しようと思っても、希望のエリアで理想の広さの土地が売りに出ているとは限りません。
また、先祖代々土地を所有しているものの、相続税の負担が大きいという現実もあります。
そこで、都市部を中心に増えてきたのが、3階建てや4階建てなどの「多層階住宅」です。
ここでは、多層階住宅の特徴やメリット・デメリットなどを紹介します。

多層階住宅(3階建て以上の住宅)とは

「多層階住宅」とは、3階建て以上の住宅のことを言います。

近年では、法改正や建築技術の進歩により、4階建て、5階建て、もっと高い住宅も建築できるようになりました。
ビルトインガレージやスキップフロア、屋上なども取り入れれば、限られた敷地を最大限に活かせます。

都市部ならではの住宅

縦の空間を利用した都市部ならではの住宅が、多層階住宅です。
土地を購入してマイホームを建てようとしても、地価の高い都市部では予算的に厳しいこともあるでしょう。
予算に余裕があったとしても、希望する広さの土地が販売されていないかもしれません。
そこで、狭い土地を購入して3階や4階など多層階住宅を建てる選択肢が生まれてきます。

また、自宅の一部を賃貸にしていると、建物の相続税評価額が下がり、相続税を軽減できます。
相続税対策として多層階住宅を建て、下の階を店舗や住宅として人に貸し出すケースも増えてきました。

多層階住宅のメリット

3階建て以上の多層階住宅には、以下のようなメリットがあります。

狭い土地を有効活用できる

狭い土地であっても、3階、4階と建物のフロアを増やすことで、より広い居住スペースを確保できます。
リビングやダイニングを広くしたり、家族それぞれが個室を持ったりするなど、より暮らしが快適になるでしょう。

狭い土地を有効活用する3階以上の住宅(多層階住宅)については、以下の記事もご確認ください。

相続税対策になる

自宅の一部を賃貸としている場合、自宅部分と賃貸部分では相続税における評価方法が異なります。
賃貸部分に関しては、相続財産としての評価額が小さくなるので、相続税を軽減できます。
そのため、将来の相続時に高額な相続税がかかる土地を所有している場合、多層階住宅を建ててその一部を貸し出すことは、相続税対策となるのです。

採光や日当たりの効率アップ

住宅空間を上へ伸ばすと、周囲の建物や樹木で日が遮られることが減り、日当たりがよくなります。
日当たりがよくなれば、冬も暖かく過ごせるでしょう。

採光についてはこちらの記事も参考にしてください。

眺望の良さ

3階や4階にリビングを設置すれば、眺めの良いリビングが実現します。
最上階に、見晴らしの良いバスルームや寝室を設置してもよいでしょう。
また、屋上を設けて、ガーデニングやリラックススペースへの活用もできます。
都会の喧騒を忘れる空間づくりが叶うでしょう。

生活空間を分けられる

二世帯住宅を建てたいと考えたとき、多層階住宅は有力な選択肢になります。

子育てや資金面で助け合え、将来の介護の不安にも対応できるのが二世帯住宅です。
しかし、生活スペースを共有すると、それだけストレスの種も増えていくかもしれません。
1階が親世帯、2階と3階が子世帯というような多層階住宅であれば、生活空間を穏やかに区切りながら、必要なときに助け合うというように、適切な距離感が保ちやすくなります。

活用範囲が広がる

1階を店舗やオフィスとした多層階住宅を建てれば、1階部分で自分でカフェや習い事の教室をしたり、人に貸して賃貸収入を得たりというように、活用範囲が広がります。

ご自身で店舗経営を考えている場合には、店舗併用住宅を検討してみてはいかがでしょうか。店舗併用住宅についてはこちらの記事も参考にしてください。

また、人に貸し出して賃貸収入があれば、ローンの負担を軽くできます
賃貸を考える場合には、その立地でニーズがあるか、どのくらいの賃料が見込めるかなど、しっかりリサーチして計画を立てましょう。

不動産投資になる

多層階住宅の一部を店舗として貸し出すほかに、賃貸住宅として貸し出す選択肢もあります。
下の階を賃貸住宅として、最上階にオーナーが住むといったケースが多く見られます。
1階を店舗とすると、テナントを確保できるかどうかは、どうしても社会情勢や景気に左右されてしまいます。
それに比べると、賃貸住宅であれば、大学に近く一人暮らしのニーズが高い、駅チカで生活に便利といった、入居者を確保しやすい物件であれば、より安定した収入を見込むことができます。
収入の柱が増えるのは魅力的ですよね。

多層階住宅のデメリット

便利で効率的な3階建て以上の多層階住宅にも、デメリットがあります。

費用がかかる

3階建て、4階建てともなれば、建物が重く地盤改良の費用も大きくなりやすいです。
設計や基礎工事、建築費、材料費などトータルコストだけでなく、延べ床面積が増える分、完成後の維持費もかかるでしょう。
家族や自分が高齢になるにつれ、住宅用エレベーターを設置するなど、のちのち設備導入費がかかる可能性も考慮しなければなりません。

階段の上り下りが多くなりやすい

縦に長い住宅なので、階段の上り下り回数が増えます。

洗濯や掃除で階段の上り下りが増えるのは、毎日のこととなると大変です。
階段の上り下りについては、設計の段階から家事動線をできるだけまとめて機能的にしましょう。

空調効率が悪い

暖気は高い場所に上る性質があるため、冬は1階が寒く、夏は最上階が暑くなります。
最上階の屋根と壁に断熱対策を施す、全館空調を採用するなどを検討しましょう。
節電を考えるなら、太陽光発電や家庭用エネルギー管理システム(HEMS)、蓄電池を備えたスマートハウスを取り入れるのも一案です。

固定資産税がアップする

建物にかかる固定資産税は延床面積に応じて課税されるため、階層を増やして延床面積が多くなる分、固定資産税は高くなります。
ただし、新築建物には固定資産税の減額措置があります。減額措置の条件や内容は自治体によって異なりますので、詳しくは建築予定物件の自治体にご確認ください。

賃貸目的の場合のデメリット

住宅を賃貸事業に活用する場合、空室による減収や家賃の滞納、入居者によるトラブルや事件、家賃の下落、ローン金利の上昇、修繕コストなどの負担も生じます。
売却したいときに、入居者に立ち退いてもらえるかのリスクもあるでしょう。

また、賃貸目的の場合、先ほど説明した税制面でも注意が必要です。
自宅の一部を賃貸にする場合、併用住宅における店舗部分、事務所部分などの住宅部分以外は減額の対象外となります。

地震の揺れを感じやすい

個人差はあるものの、高い建物は揺れやすいイメージを持つ人もいます。
現在の建築物は、1981年6月に改正された新耐震基準により、震度6強、7程度の地震でも倒壊しない水準で作られるようになりました。
審査や条件が厳しくなり、技術や建材の性能も上がったため、以前より住宅の耐震性は向上しているので、安心しましょう。

耐震基準について気になる方はこちらも参考にしてください。

多層階住宅の活用例

3階以上ある多層階住宅のメリットとデメリットを把握したうえで、限られた敷地に建てた住宅を上手に活かしたいですよね。
ここでは、単なる住宅だけではない3階以上の住宅(多層階住宅)の活用事例を見てみましょう。

二世帯住宅

多層階住宅は生活空間を階ごとに分けられるため、二世帯・三世帯住宅向けです。
子世帯にとって親世帯と同居なら、資金援助を受けやすいだけでなく、子育てや家事、介護など生活面でのメリットもあります。

賃貸物件

前述の通り、住宅の一部を賃貸として活用すれば、ローンの返済にも充てられるのがメリットです。
3階建て以上にして、上層階を自宅に、下層階を賃貸住宅にすれば収益が生まれます。ローン返済の資金回収につなげられるでしょう。

店舗併用住宅

同じく、土地の用途地域が第二種低層住居専用地域であれば、1階を店舗にすることも可能です。
自宅の1階スペースを利用して、賃貸としてだけでなく、自分でカフェやネイルサロンも開業できます。

多層階住宅の構造

鉄骨造だけでなく、木造でも多い多層階住宅。3階建て以上の住宅の建築を検討している方向けに、おすすめハウスメーカーを紹介します。

【鉄骨系】3階建て以上の住宅

柱や梁などのでっぱりが少ないうえ、耐震性に優れ、頑丈なのが鉄骨系住宅の魅力です。店舗としてだけでなく、賃貸を兼ねた住宅にもぴったりですよね。
ただし、地盤改良が必要なので基礎工事のコストは高くなります。

下記は、鉄骨系のハウスメーカーの一例です。

・パナソニック ホームズ

重量鉄骨造による都市型の住宅専用3階建てや、多用途併用型の多層階住宅を展開しています。
二世帯住宅や賃貸・店舗、事業用スペースなど、さまざまな用途に活用可能です。
土地活用のノウハウが豊富なうえ、3階から9階までの階層の住宅が建てられる高い技術力を備えていますよ。
家電に強い、パナソニックならではの独自の工夫や機能もたっぷりです。

・積水ハウス

重量鉄骨造でありながら、柱の位置を自由に変えられ柔軟な空間づくりができる鉄骨3階や4階建ての多層階住宅が特徴です。
高層ビルと同レベルの耐震基準設計による高い耐震性、1時間耐火の積水ハウスオリジナル外壁による高い耐火性を誇ります。

・旭化成ホームズ(へーベルハウス)

3階建て住宅のパイオニアとして知られるヘーベルハウスの特徴は、無柱構造による広い開口部といった重鉄構造です。
限られた敷地でも開放感あふれる住宅が叶います。賃貸部の管理・運営を代行するサービスもあるので、賃貸経営をお考えの方も安心です。

・大和ハウス工業

ダイワハウスの特徴は、5階建てまで可能な重量鉄骨造です。人間工学に基づく家族みんなが暮らしやすい住まいを叶えてくれるでしょう。
Google アシスタント を搭載した「Google Home」による住宅のIoT(Internet of Things)化にも力を入れており、安心感と快適性にも注目したいところです。

【木造】3階建て以上の住宅

3階建ての住宅は、木造建築でも多数建てられてます。
木の温かみを感じられる木造住宅は、根強い人気です。
木造でも「耐火構造」にすれば建物の高さの制限はないため、4階以上の多層階住宅の建築もできます

・住友林業

住友林業では、木のぬくもりを活かした3階建て多層階住宅が可能です。
独自のビッグフレーム構法は、一般的な木造在来工法の筋かい耐力壁に比べ、耐震性に優れています
広い開口部を確保できるため、設計の自由度の高さが魅力です。
狭小地や変形地を活かした3階建て住宅にも対応しています。

・三井ホーム

耐火壁構法による大手メーカー初の木造耐火4階建て住宅を実現する三井ホームでは、2x4(ツーバイフォー)工法に独自技術を融合させた「プレミアム・モノコック構法」で、柱のでっぱりをなくして空間を有効活用できます。
屋根裏や地下を利用した収納、吹き抜けやロフトなども思いのままです。

・ミサワホーム

敷地を活かした設計で、都市部で快適に暮らす工夫を凝らした25坪から73坪までの3階建ての多層階住宅が建てられます。また、「蔵のある家」というコンセプトの大型収納や、アフターサポートの充実度にも定評があります。

多層階住宅を検討するならこんな方法で情報を得よう!

さまざまな可能性を持つ3階以上の多層階住宅ですが、どのように情報を集めればよいでしょうか。

住宅展示場で実際のモデルハウスを見学しよう!

一度に複数のモデルハウスを見学できるのが住宅展示場のメリットです。
住宅展示場では、ぜひ多層階住宅のモデルハウスの中に入り、実際の生活をイメージしてみてください。音の響き方が気になる場合は、家族で手分けをして上下の階に分かれて音を確認してみるのもよいでしょう。
住宅展示場では、生活イメージを頭の中でシミュレーションしながら、設計や施工のポイントをスタッフに直接聞くことができます。

知り合いの口コミからイメージしてみよう!

身近に3階建て以上の多層階住宅を建てた友人や親戚がいたら、実際に見せてもらうのもおすすめです。
日々の生活動線における悩みや工夫など、住む人ならではの生の声を聴けます。

3階建て以上の住宅を建てるなら施工先を探そう!  検討ポイント

3階建てやそれ以上の高い階層の住宅での生活イメージがつかめてきたら、間取りや設計についてプランを立てましょう。
3階建てなど多層階住宅の施工依頼先は、選定に迷うものです。
施工会社を選ぶ際は、以下の点に着目しましょう。

  • 多層階住宅建築の経験と実績
  • 空間提案力、土地活用提案力
  • 資金面や税金、法律の情報力
  • アフターフォローの充実度
  • 建てる土地の地盤や住環境に関する情報力

施工会社の候補は複数選ぶことが大事です。
それぞれの施工先の担当者とじっくり話をして、求める技術力や提案力を比較してから、施工先を絞り込みましょう。

3階建てなど多層階住宅を詳しく知るなら住宅展示場へ!

便利な都市部の住環境にこだわるなら、3階建て、4階建てなどの多層階住宅を検討しましょう。
1カ所で数社のモデルハウスが見られる住宅展示場なら、最先端の技術によって建てられた家を複数見学できます。
気になるハウスメーカーがあれば予約してから訪問するのがおすすめです。
高い階層の住宅ならではの知恵と工夫を取り入れて、理想の住まいを実現させてくださいね。