自宅と賃貸物件を兼ねた「賃貸併用住宅」には、一般的な物件にはないメリットやデメリット、注意点があります。
気になるローンや相続税についても解説しますので、賃貸併用住宅を検討している方は、ぜひ役立ててください。
この記事の目次
賃貸併用住宅とは
賃貸併用住宅とは、自宅スペースもありながらアパートやマンションのように他の入居者に貸し出すスペースも備えた住宅のことです。
マイホームとして住みながら賃貸経営ができるため、土地活用や資産形成の面から注目を集めています。
不動産収入が得られるのは、魅力的ですよね。
賃貸併用住宅には、新築で建てるケースと中古物件を購入するケースがあります。
新築では、建築の段階から一部を貸し出すことを想定してプランを立てたり、住宅メーカーに依頼したりするケースが多いでしょう。
賃貸併用住宅については、こちらの記事も参考にしてください。
賃貸併用住宅とは?メリットやデメリット、建築段階から賃貸経営までの流れを知ろう
賃貸併用住宅とは、一棟の建物の中にオーナーが居住する空間と、賃貸住宅とが併用されている物件のことです。本記事では、賃貸併用住宅のメリットやデメリット、建築段階から賃貸経営までの流れを紹介します。
賃貸併用住宅で発生する収入と支出は?
安定した収入が見込める賃貸併用住宅ですが、それなりの支出も発生します。
あらかじめ、ざっくりとでも収入と支出のシミュレーションをしておくと「何年くらいでマイナス分を補えるのか」「ゆとりのある生活が送れそうか」などの見通しが立てやすいですよ。
収入:家賃や更新料
賃貸併用住宅で得られる主な収入は、家賃です。
その他、礼金や更新料も収入源になります。
以下は、夫と妻、3歳以上6歳未満と3歳未満の子どもの計4人家族1世帯に部屋を貸し出すケースと、単身者3世帯に部屋を貸し出すケースの家賃収入例です。
4人家族の1世帯に貸し出す際の年間収入例 | 単身者3世帯に貸し出す際の 収入例 | |
住宅面積 (誘導居住面積水準を参考に算出) | 95平方メートル | 55平方メートル |
住宅面積を畳数に換算 (1畳=1.548平方メートルの江戸間とする) (端数切り上げ) | 95平方メートル ÷ 1.548平方メートル(1畳)= 61.37畳 | 55平方メートル ÷ 1.548平方メートル(1畳)= 35.53畳 |
1ヵ月の家賃例 (1畳あたりの家賃を3,064円とした場合) | 61.37畳 × 3,064円=18万8037.68円 | 35.53畳×3,064円=10万8863.92円 |
1年間あたりの家賃収入例 | 18万8037.68円 × 12カ月=225万6,452.16円 | 10万8863.92円 × 3世帯× 12カ月=391万9,101.12円 |
参考:平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要
参考:参考資料 誘導居住面積水準(住生活基本計画(平成23年3月15日閣議決定)より抜粋)
1カ月あたりの家賃は、総務省の「平成30年住宅・土地統計調査における1畳あたりの家賃」と、「豊かな生活を送るために必要な面積・誘導居住面積水準」をもとに算出しました。
物件の規模にもよりますが、広い部屋を1世帯に貸すよりも、狭い部屋を3世帯に貸すほうが多い家賃収入を見込めるかもしれません。
また、家賃は立地だけでなく、さまざまな要因で決めるものであるため、上記はあくまでも一例として参考にしてくださいね。
支出:初期費用の他にランニングコストも
賃貸併用住宅の主な支出は、初期費用とランニングコストに分類されます。
初期費用は、新築における建築費や造成費だけではありません。不動産取得税や登記関連費用*、印紙税、水道分担金、地盤調査費用ボーリング調査費用、地震・火災保険料など、さまざまな初期費用がかかります。(*不動産取得税や登記関連費用については、中古の賃貸併用住宅でも発生します。)
また、新築でも中古でも入居者募集費用が初期費用に含まれます。入居者募集費用は、退去者が出るたびに発生します。
初期費用に含まれる諸経費は、物件価格の3%~9%ほどが目安です。
新築で建てるなら住宅メーカーに建築費の見積もりを出してもらうことで、収支のシミュレーションがしやすくなりますよ。
固定資産税や火災保険、修繕費、管理費などは、ランニングコストです。
ローンを組む方については、住宅ローンの支払いもあることを覚えておきましょう。
賃貸併用住宅の間取りは?
ここでは、賃貸併用住宅に多くある間取りについて紹介します。
住み心地のよさや管理のしやすさからベストな間取りを選ぶことが大切です。
横割りの間取り
「自宅」と「賃貸」部分をフロアで分けた、横割りの間取りがあります。
同じ横割り設計でも、1階を自宅にして2階以上を貸し出すパターンと、最上階を自宅にしてそれより下の階を貸し出すパターンがあり、どちらもよく見られます。
また、将来的に二世帯住宅を想定しているケースでは、1階を自宅、2階を子世帯の住宅、3階以上を賃貸にすることもあります。
縦割りの間取り
1つの建物を縦割りにした、いわゆるメゾネットタイプも賃貸併用住宅として活用可能です。
各部屋に階段が必要になるためスペースをとりますが、階上の足音などの騒音に悩まされないのは、メリットといえるでしょう。
賃貸併用住宅に見られるメリット・デメリット
賃貸併用住宅は、主に収入面においてメリットが多いと考えられます。
一方で、管理する必要があることによるデメリットもあるため、後悔しないよう把握しておきましょう。
賃貸併用住宅のメリット
賃貸併用住宅の主なメリットは、以下の通りです。
- 家賃収入でローンを返済できる
- 住宅ローンを利用できる
- 節税効果を期待できる
- ライフステージに合わせて柔軟に対応できる
賃貸併用住宅の一番のメリットは、家賃収入を住宅ローンの返済に充てられることです。ローンの負担が軽くなり、生活に余裕が出るだけでなく、賃貸経営がうまくいけば家賃収入が返済額を上回ることもあります。
賃貸併用住宅では、アパートローンより金利が低い住宅ローンを利用できます。
自宅部分が50%以上を占める場合のみ適用されるため、覚えておくとよいでしょう。
条件を満たせば「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)*」が適用されることもメリットといえます。
(*住宅ローンの年末残高の合計額を基として計算した金額が各年分の所得税額から控除される制度)
また、住宅用地は固定資産税の軽減措置が受けられること、賃貸部分の敷地や建物は自宅部分より低く評価されるため相続税評価額が減額されることから、節税効果が期待できます。
将来的に親を呼ぶ、もしくは子ども世帯と暮らす予定がある場合に対応しやすい点も、メリットです。
賃貸併用住宅のデメリット
賃貸併用住宅の主なデメリットは、以下の内容が挙げられます。
- 空室のリスクがある
- 直接クレームを受けることがある
- 売却しにくい
賃貸併用住宅では家賃収入を見込んで設計することになりますが、空室のリスクを考慮しなければなりません。
急に退居が決まる、次の入居者がなかなか決まらないなどのケースを頭に入れておき、退去者が出るたびに、入居者募集費用がかかることも踏まえたうえで賃貸物件を経営しましょう。
賃貸物件の大家になると、クレームに対応する必要があります。
クレーム対応をしたくない、あるいは忙しくて対応しきれないときは、大家業務を管理会社に委託する方法も検討しましょう。
また、賃貸併用住宅は特殊な物件のため、購入希望者が少なく売却しにくいといわれています。
売却まで時間がかかることが考えられる点も、デメリットといえるでしょう。
賃貸併用住宅で失敗しないための6つのポイント
賃貸併用住宅を検討するなら、理想のマイホームづくりと同時に、入居者も快適に暮らせる住宅づくりがとても大切です。
空室が出にくい、出てもすぐに埋まりやすい住宅をつくるための6つのポイントを紹介します。
1.地域に合わせた住宅を調査する
空室をつくらないようにするためには、入居者のニーズをしっかりリサーチすることが重要です。
たとえば、単身者なら「駅前希望」など立地重視だったり、「オートロック希望」などセキュリティ重視だったりします。
ファミリーであれば、学校や病院が近くにあるなど住環境重視、「3LDK以上希望」など部屋数重視が多いでしょう。
一例として、以下に「ファミリー(夫と妻、3歳以上6歳未満と3歳未満の子どもの4人家族)」と「単身者」、「学生」別に、求められる条件例を表にまとめました。
賃貸併用住宅の間取りや設備にお悩みの際は、参考にしてみてください。
ファミリー | 単身者 | 学生 | |
立地 | ・閑静な住宅地 ・幼稚園や保育園、小中学校が近い ・買い物がしやすい ・公園が近い ・治安が良い ・医療機関や行政機関から近い | ・都心に近い ・最寄駅から近い ・コンビニや深夜営業のお店が豊富 ・レンタルショップがある | ・交通の便が良い ・学校やコンビニが近い ・物価が安い ・アルバイト先の選択肢がある ・2階以上 |
間取り | ・3LDK ・4LDK | ・ワンルーム(1R) ・1K ・1DK ・1LDK ・2K ・2DK | ・ワンルーム(1R) ・1K・1LDK |
設備 | ・無料インターネット ・追いだき機能 ・エントランスのオートロック ・ホームセキュリティ ・システムキッチン ・浴室換気乾燥機・ウォークインクローゼット・太陽光パネル(入居者個別売電)・床暖房・防犯カメラ | ・無料インターネット ・エントランスのオートロック ・浴室換気乾燥機 ・ウォークインクローゼット ・ホームセキュリティ ・独立洗面台 ・追いだき機能・宅配ボックス・防犯カメラ・24時間利用できるごみ置き場 | ・エアコン・バス、トイレ別 ・独立洗面台 ・2口以上のガスコンロキッチン ・高速インターネット設備 ・収納スペース・テレビモニター付きインターホン・室内洗濯機置場 |
2.入居者目線で家賃を設定する
貸し出す部屋の家賃を設定するのは、オーナーの重要な仕事の1つです。
家賃が安すぎると収支のバランスが悪くなり、高すぎると入居者が集まらない原因になります。
失敗しやすいのは、住宅ローンの返済額から家賃を導き出す方法です。
収支のバランスはとれますが、入居者目線では高すぎると感じさせてしまう可能性があります。
立地や間取りなどから適切な金額を割り出し、近隣相場と比較して高すぎず安すぎない家賃を設定しましょう。
3.プライバシーを確保する
賃貸併用住宅では入居者と1つの建物でともに暮らすことになるため、プライバシーの確保が求められます。
自宅と賃貸フロアで入り口を分ける、庭に植栽して居住スペースを見えないようにするなど、設計時に工夫をしましょう。
プライバシーを確保することは入居者のためだけではなく、オーナーとして暮らす自分や家族のためにもなります。後悔のないように、こだわってみてくださいね。
4.騒音対策をする
賃貸併用住宅に限らず、複数の世帯が1つの建物で暮らす集合住宅の場合は、騒音トラブルが発生しやすいといえます。
クレームを防ぐためには、設計時から騒音対策をしておくとよいでしょう。
騒音対策の主な例は、以下の通りです。
- 遮音性の高い床材などの建材を使う
- 水回りが集中するように間取りを工夫する
- 縦割りの間取りにする
- 騒音対策のルールを作り入居時に説明する
5.空室になった場合を想定して収支シミュレーションをする
空室をつくらない工夫をしても、転勤や家庭の事情などさまざまな理由で退居者が出ることは避けられません。
すぐに次の入居者が決まれば安心ですが、なかなか決まらないケースもあります。
賃貸併用住宅の収支シミュレーションをする際、空室が数カ月続いても余裕が持てるように、ある程度のマイナスも想定しておくことが大切です。
6.ノウハウを持ったハウスメーカーに依頼する
賃貸併用住宅で失敗しないためには、知識と経験のあるハウスメーカーに依頼することが近道でしょう。
なるべく空室が出ないようにする工夫や家賃設計、収支シミュレーションについても、ハウスメーカーがいろいろプランを提案してくれますよ。
中古で賃貸併用住宅を購入するときの注意点
賃貸併用住宅を中古で購入する場合、物件価格が安いことと建築や設計にかかる費用や時間をカットできることがメリットです。
一方で、注意しなければいけない点もあります。
1つは、建物や設備の老朽化により思わぬ修繕コストがかかるケースです。
もう1つは、以前のオーナーより入居者トラブルを引き継がなければいけないケースです。
築年数や建物の劣化具合を確認することはもちろん、家賃の滞納や騒音問題など、入居者トラブルがないかどうかも確認しておきましょう。
賃貸併用住宅の相談は経験豊富な住宅メーカーへ
賃貸併用住宅は、以下のような方に向いています。
- 二世帯など複数で住むことを前提としている方
- 自己負担を減らして自宅を建てたい方
- 収入を得ながら住宅ローンを支払いたい方
- 収益を得たいが将来的には自分のスペースにしたい方
賃貸併用住宅を建てるときは、メリット・デメリットを踏まえたうえで空室をつくらないような工夫をしましょう。
事前に需要のある立地・間取り・設備を調査することはもちろん、成功例を多く持つ経験豊富な住宅メーカーに相談すると安心です。
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ハウジングリゾート「港北インター住宅公園」は、第三京浜・首都高速「横浜港北JCT」目の前という利便さに加え、リゾート地の家並みのような広々ゆったりとした住宅展示場です。