すでに注文住宅に住んでいる人も、これから建てようとしている人も、共通していえるのは我が家で広く快適に過ごしたいということ。そのために大切なのは、空間を上手に使う収納テクニックです。
そこで今回、収納のプロとして活躍するNANAKOさんにインタビュー。実用できる技を紹介するのはもちろん、これから家を建てる人に向けたおすすめポイントもお聞きします。
この記事の目次
NANAKOさんプロフィール
整理収納アドバイザー。外資系大手アパレル会社に10年勤務し、老若男女3万人以上の試着を担当。ご主人の転勤に伴い退職し、8度の引っ越しの経験と前職で培ったセンスをもとに、整理収納アドバイザー1級の資格を取得。テレビ・雑誌・WEBサイトなど幅広いメディアで活躍中。Instagram
「家が汚い」は思った以上にデメリットだらけ
仕事に家事にと忙しい生活を送るうちに、だんだんとものが溜まり、ホコリにまみれ、いつの間にかお客さんを呼べない家になってしまった、なんてことありますよね。
「片付いていない家」は、デメリットばかりなのだとNANAKOさんは言います。
「せっかくのお休みの日に掃除に追われたり、ハウスダストを放置したせいでダニやカビが発生し、家族が体調不良になってしまったり。面倒臭いからと家を汚いまま放置してしまうと、そうした思わぬデメリットが生まれてしまいます。
日頃の整理整頓が心に余裕を生む
無駄なものを置かないようにして、しまう場所を決め、常日頃から部屋をキレイにしておけば、掃除は毎日気が付いたときにササッと行うだけでOK。
そうすることで時間に追われることが減って心に余裕が生まれ、ストレスが少なくなります。メンタルが健康になると、家族みんなが自然と笑顔になれるもの。せっかく手に入れた我が家だからこそ、片付けやすい収納術・片付け術を身に付けるといいでしょう。
うちはまだ幼い娘がいますが、私が日頃から片付けているのを見ているせいか、遊んだ後は進んで片付けてくれますし、外から帰ってきて部屋がキレイな状態になっていると、とっても喜んでくれます。片付いている家はお子さんの教育にも良い影響を及ぼすもの。新居を建てる・お引越しするといった節目をキッカケに、“汚家”にならないようぜひ収納を見直しましょう」
家の場所別!戸建て収納テクニック
さて、いよいよ本題へ。
リビングやキッチンなど場所別の収納テクニックをNANAKOさんにご紹介いただきます。
【リビング】カテゴリ分けをしっかりすれば、自然と片付く
「誰が見てもどこに何があるか分かるようにする。これがリビング収納のおきて。
書類ボックスや収納道具を使い、ものをカテゴライズして、小さな子どもでも分かりやすいように。そして使ったものを戻しやすいようにしておきましょう。
こうしてカテゴリ別にしてしまえば、中はある程度テキトーでもOK。どこに何があるか把握できれば、ストレスなく出し入れすることが出来ます。また、それぞれのカテゴリに入れるものは、そのスペースに入る分だけを買うようになるので、余計な出費も減ります。
ちなみに、クローゼット内の小物類の収納におすすめなのは、無印良品の『ポリプロピレン小物収納ボックス』。いろんなサイズがそろっているので、スペースに合わせて使うことができます」
「家事をしながら子どもを見るため、リビングの一角に子ども用のスペースを作りました。
子どもと相談しながらおもちゃなどをカテゴリ分けし、一緒にラベルシールを貼っていくと、面白いもので自分から進んでお片付けをしてくれるようになりました」
【キッチン】「すぐ出せる&しまえる」の鉄則を遵守
「食器や食材のストックは見てすぐ分かるよう立てて収納し、取り出しやすく」
「コンロやシンクの周りはできるだけ物を出しっぱなしにしないようにします。こうするだけで、油や水がはねてもすぐに拭き掃除が出来てストレス減。
キッチンカウンターの上にものを置かないようにすると視界がさえぎられることがなくなり、部屋が広く見えるメリットも」
【洗面所】お風呂上りに必要なものをカテゴリ収納
「洗面所は清潔感が大切な場所。ここは白収納でスッキリと片付けるといいでしょう。
ポリウレタン製の収納道具など、リビングやキッチンではできるだけ見えないようクローゼットや戸棚の中にしまいたいものですが、洗面所であれば見えたままでもOK。スチールラックなどを使ってスペースを有効活用してみましょう」
「タオル・下着・パジャマなど、お風呂上りに使うものは洗面所へ。こまごましたものを乾燥機から取り出してすぐにしまうことができるので、家事がラクになります」
【玄関】靴だらけの玄関は工夫で乗り切る
「夫も私ももともとアパレル業界の人間で靴が大好き。とてもじゃないけれど作り付けの下駄箱では足らず、シューズインクローゼットを改造し、靴をたっぷり収納できるスペースを確保しました。
私のバレエシューズやロータイプのパンプスは、省スペースになるよう吊り下げ式に。ニトリの突っ張り棒と、100円均一の洗濯した後に干す用のシューズハンガーを使っています。奥行きがない棚でも、棚板が足りないようなときでも収納できるのでとても便利です。
吊り下げることで空間にロスがなくなり、3~4倍入るようになります。掃除がラクになるのもメリットですよ」
【寝室】服は一軍をハンガーに、二軍は畳んで収納
「寝室のクローゼットには、私の洋服を収納しています。今年着たい一軍の服は、ハンガーにかけて見やすく取り出しやすく。たまに着る程度の2軍のものは畳んで引き出し収納へ」
「ハンガーは洗濯用と収納用を一緒にすると、乾いたらすぐクローゼットにしまうだけなので家事が時短に。
おすすめは、型崩れしにくい『MAWAハンガー』。ドイツ製で特殊プラスチックによるノンスリップ加工で、洋服がズレることなくかけられます。ニットなども伸びにくいのでとても機能的。スリムなのでたっぷりお洋服がかけられるようになります」
「お洋服以外のこまごましたものは、L.L.Beanのトートバッグにしまっています。大きくて丈夫で、しかも自立してくれるので収納にもってこい。デザインもバッチリなので、クローゼット内のアクセントになりますよ」
【子ども部屋】子どもの目線で楽しめる部屋に
「まだ幼くて私たち夫婦と一緒に寝ているので、子ども部屋に置いてあるのは子どものお洋服と絵本などのおもちゃたち。絵本は感性を養えるようたくさんあります。
壁かけ収納は、無印良品の『壁に付けられる家具』を利用。季節に合わせて並べる絵本を変えて楽しんでいます」
これから家を建てる人へ収納のアドバイス
さまざまな収納テクニックを披露してくださったNANAKOさんに、これから家を建てるときどんなことに気を付けるべきかお聞きしました。
「クローゼットは多すぎても少なすぎても使い勝手が悪くなります。クローゼットばかり作ってしまって部屋が狭くなってしまったり、逆にクローゼットが足りなくて家具を買わざるを得なくなってしまったり。そうした残念を防ぐために、何を・どこに・どれくらいしまいたいかを想像し、それぞれの部屋の収納の大きさを決めましょう。
あると便利なのは、リビングの収納。文房具や説明書、書類など家族と共有するのものをしまうことができます。クローゼットひとつ分程度でいいので、リビング収納はぜひ作ってみてください。
寝室の収納は、多少金額がかさんでも収納扉を天井まで届く大きいタイプにしておくと便利です。我が家のクローゼットは扉が小さく、天袋に荷物をしまうときにひと苦労。せっかくのスペースが活用しきれていない気がして残念でなりません。
天井まで開くタイプにすると、オプション料金がかかってしまうこともありますが、ここはぜひ妥協せずいきましょう!」
家族みんなで楽しく快適な収納を
「家をきれいな状態に保っていると、家族も自然と片付けてくれるようになります。我が家では年に4回、季節の変わり目に家中を整理整頓。何をどうするか家族で話し合い、協力して片付けることで、夫や娘も家に愛着を抱いてくれている気がします」とNANAKOさん。
家族みんなで知恵を絞り、家族そろって片付けることで、それぞれに達成感・責任感が生まれ、きれいな家が長持ちするはずです。
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Photo_Koji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara