日当たりの良い方角は南だけじゃない?意外なメリット・デメリットも

2023年1月10日

一般的に南向きの家は、明るくて温かな空間作りがしやすいため、「家を建てるなら、日当たりの良い南の方角にしたい」と多くの人が考えるでしょう。南向きの家は、明るくて温かな空間作りがしやすいためです。しかし、住む人のライフスタイルによって、ちょうどよい日当たり具合は異なるものです。ここでは、南向きをはじめとする各方角の日当たりについてメリットとデメリットをご紹介します。自分のライフスタイルに合った「日当たり」を知ることで、物件選びや家づくりの参考にしてくださいね。

日当たりの良い方角にこだわる理由

日当たりの良い方角にこだわる理由

家を建てる際、日当たりの良い家にこだわるのはなぜでしょうか? 

明るさ

日当たりの良い家は、照明を点けなくても窓から入る自然光によって部屋の中が明るくなります。電気代の節約にもつながるでしょう。

暖かさ

日当たりが良ければ、太陽光のパワーにより室内が暖められます。そのため、冬は暖房費の節約になるほか、地球環境への負荷を下げることにもつながるでしょう。暖房時に設定温度を1℃下げた場合、消費電力量が約10%削減されるといわれています。

健康への影響

日当たりの良さが人間の睡眠リズムを整え、健康をサポートすることもあるでしょう。陽光は、幸せホルモンとも言われるセロトニンの分泌を促します。分泌されたセロトニンをもとに、夜に眠りを誘うメラトニンが生成され、良い睡眠をもたらすのです。家の日当たりの良さは、規則正しい生活を送る上でも大切な要素だといえるでしょう。

日当たりの良い方角【南】

日当たりの良い方角【南】

日当たりの良い方角として、最も人気の南向き。多くのメリットがある一方で、実は以下のようなデメリットもあります。対策とあわせてご紹介します。

メリット

  • 年間を通して暖かく明るい室内で快適に過ごせる
  • 照明や暖房のための光熱費が抑えられる
  • エネルギー消費が抑えられるので環境にやさしい
  • 物件の売却価格を高めに設定できる

デメリット

  • 土地や物件の購入価格が高い
  • 夏は窓からの直射日光が家全体を熱するため、冷房費がかかる
    →【対策】奥行きのある屋根付きベランダを設置する。夏の直射日光を避ける一方、冬は低く差す太陽光が得られる。遮熱カーテンも効果あり
  • 日差しが入る時間が長いので、人や家具が日焼けする
    →【対策】UVカット機能付きのレースの遮光カーテンで、明るさはキープしながら有害な紫外線をカット

日当たりの良い方角【東】

日当たりの良い方角【東】

南向きに次いで人気なのが東向きの方角です。東向きにはどんなメリット・デメリットがあるでしょうか? 

メリット

  • 朝日によって自然に目覚めやすい
  • 午前中明るい
  • 午前中暖かい
  • 午前中洗濯物が乾きやすい
  • 夏場は西日を避けられるため午後は涼しい

デメリット

  • 午後は寒い
    →【対策】午後早めに断熱効果のあるカーテンを閉めて午前中の暖かさをキープ
  • 午後は暗い
  • 午後は洗濯物の乾きがよくない
    →【対策】午前中に乾くよう朝早めに洗濯物を干し、昼過ぎには取り込む

日当たりの良い方角【西】

西向きは、生活リズムによっては好まれる方角です。メリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

  • 夏は午前中涼しい
  • 冬は午後暖かい
  • 午後は日没まで明るく暖かいため、夜冷えにくい
  • 午後に干した洗濯物でも乾きやすい
  • 夕焼けの景観が楽しめる
  • 朝日が入らずゆっくりと眠れる

デメリット

  • 冬は午前中寒い
  • 夏は午後暑い
  • 朝日が入らず午前中暗い
  • 強い西日により室内が熱せられるため、冷房代がかかる
    →【対策】遮熱カーテンや断熱カーテンを利用する
  • 強い西日により人や家具の日焼け、色あせや劣化がおこる
    →【対策】遮光カーテンを採用する

日当たりがあまり良くない方角【北】

人気がないと言われる北向きですが、実は意外なメリットがあります。

メリット

  • 直接日光が差さないので穏やかな明るさがある
  • 夏の暑さを避けられる
  • 人や家具が日焼けしにくい
  • 土地や物件の購入価格が低め

デメリット

  • 年間を通して室温が上がりにくく寒い
    →【対策】建築時に断熱素材、二重サッシ、空調システムを採用する
  • 湿気がこもりやすい
    →【対策】サーキュレーター、空調システムを採用する
  • 土地や物件の売却価格が低め

南向きでも日当たりがよくないことも!

南向きでも日当たりがよくないことも!

南向き物件だからといって、必ずしも日当たりが良いとは限りません。季節や時間帯によっても日の当たり具合は変わります。将来的に周辺環境が変わる可能性もあるため、先のことも予想しながら物件の条件を確認しましょう。

南向きでも日当たりの悪い条件

  • 南側にマンションや高い建物が建っている、あるいは建つ可能性がある
  • 物件の南側と隣家との距離が近い
  • 傾斜地の北斜面である

各方角の日当たりを良くするにはこんな方法も!

各方角の日当たりを良くするにはこんな方法も!

「南向きじゃないから、日当たりの悪い方角…」と、がっかりすることはありません。物件購入の費用が抑えられる分、予算を他に回せば快適な家づくりが可能です。

3階建て、4階建てにする

コンパクトな敷地には、3階建てや4階建てなどの選択肢もあります。地盤や日照権、建築基準法の制限と照らし合わせて検討をしましょう。

天窓をつける

天窓をつける

屋根に天窓をつけると、採光効率が上がります。通気性も確保できますよ。

窓の外に白い色を配置する

窓の外に白い色を配置する

屋外に配置した白の反射光によって、部屋の中に明るさを採り入れる方法です。例えば、庭に白い砂利を敷いたり、ベランダに白いタイルを設置したりするのも良いでしょう。おしゃれな家周りになるだけでなく、室内がぐっと明るくなるので、一石二鳥です。

  • 庭に白い砂利を敷く
  • ベランダに白いタイルを設置する

全館空調を採り入れる

太陽光による暖かさの代わりに全館空調システムを設置すれば、家中どこにいても暖かいので天候に左右されず快適に過ごせます。日当たりの良い方角にこだわらず、土地や建物を安く購入して、その分を建築材料や設備費用に回してみてはいかがでしょうか。 

インテリアに暖色系を採り入れる

インテリアに暖色系を採り入れる

壁紙や床に、アイボリーやベージュなどの彩度の高い白っぽい色を採り入れましょう。温かみのある木目調の家具にファーのラグやオレンジ色のクッションをインテリアに組み合わせると、空間が明るく温かく感じられます。反対に暑さが気になる夏は、カーテンやファブリックを水色やミントグリーンなど寒色系にアレンジすると涼しげな印象になります。

日当たりの良い方角はライフスタイルによって選ぼう!

日当たりの良い方角はライフスタイルによって選ぼう!

一般的に日当たりの良い方角は「南向き」ですが、南向きの物件でも必ずしも日当たりが良いとは限りません。求める日当たりの良さも、生活習慣によって変わってきます。

家での過ごし方

家の中で家族はどんな過ごし方をするでしょうか? ライフスタイルによって、日差しが必要な時間帯は変わります。

  • 一日中滞在型 … 主夫や主婦。または家事育児をしながらテレワーク
  • 夜中心型 … 日中は家族全員仕事や学校に出かけ、夕方帰るため家で過ごすのは夜だけ
  • 朝型 … 子どもを早起きさせたい。朝早く起きて活動し、夜早めに休みたい
  • 非朝型 … 時差のある仕事のため、昼近くまでゆっくり寝たい
  • 季節型 … 仕事柄季節によって家での滞在時間が異なる

物件の地域と気候

住むエリアによって気候が異なるため、「方角」の優先度も変わります。

  • 寒い地域のため、もともと太陽光による暖が期待できず、全館空調を採り入れている家が多い
  • 暑い地域のため年間を通して強い日差しを避けたい

周囲の環境

物件の立地条件によっても「方角」の優先度が変わってきます。将来的な変化もイメージしてみましょう。

  • 南の方角に道路が面していて日当たりは良いが、車の走る音が気になる
  • 南側に広い土地があり、マンションや建物が建つ可能性がある
  • 南側の家が古く建て替えられた場合は、日当たり環境が変わる可能性がある
  • 南向きだが、南隣の家との距離が近い
  • 傾斜地の北斜面に建っているため、南向きで陽の当たる時間が短い

日当たりの良い方角は南だけじゃない!

南向きの物件以外でも、日当たりの良さは設計や建材の工夫で改善できます。日当たりについての工夫は、住宅展示場に出かけて実際に見るのがおすすめです。採光や断熱のアイデアを盛り込んだ複数のモデルハウスを見比べてみましょう。ライフスタイルに合わせて、ステキなおうちづくりを叶えてくださいね。