予算4,000万円で注文住宅を建てる際には、土地購入費用を予算に含めるかどうかで内容が大きく変わるため、注意が必要です。
ここでは、4,000万円の予算で建てられる家の大きさや費用感、予算内で理想の家を建てるコツを解説します。
※この記事は、2023年2月16日時点の価格を参照しています。
この記事の目次
4,000万円以内で家を建てる場合の費用の内訳・相場
4,000万円以内で家を建てるときに考えたい費用の内訳は、大きく分けて土地購入費と建築費の2つです。
まだ土地を取得していない方は、土地購入費も含めた予算の計画を立てましょう。
土地購入費
土地の購入に含まれる費用の内訳は、主に土地自体の購入費と、以下の諸費用です。
- 印紙税
- 仲介手数料
- 登記費用
- 不動産取得税
地域差もありますが、土地購入にかかる諸費用は土地購入費の5~10%程度になります。
住宅金融支援機構の公表資料「2021年度のフラット35利用者調査」によれば、首都圏での土地付き注文住宅の所要資金は5,133万円です。
首都圏で4,000万円以内の家を建てることを想定すると、土地の購入エリアや住宅設備オプションの性能などを妥協し、土地購入費や建築費を抑える必要があります。
建築費
建物の建築費の内訳は、主に以下の通りです。
- 建物本体工事費(工事契約金・着工金含む)
- 付帯工事費
- 建築確認申請費
- 地鎮祭や上棟式費(地域による)
建築費のうち建物本体工事費は約7割、付帯工事費や諸費用は約3割が目安といわれています。
前出の「フラット35利用者調査」によれば、首都圏における注文住宅の所要資金は3,899万円です。
この3,899万円について費用の内訳を計算すると、以下の金額が予算配分の目安となります。
建物本体工事費 | 約2,729.3 万円 |
付帯工事費や諸費用 | 約1,169.7 万円 |
参考:住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」
一方、建物だけに4,000万円の予算がかけられる場合は、注文住宅の平均額3,899万円に対して余裕を持てるでしょう。
4,000万円台で建てられる家の延床面積の事例
4,000万円以内で注文住宅を建てるとすると、どのくらいの大きさになるのでしょうか。ここでは、4,000万円以内の予算で建てられる家の延床面積の事例を紹介します。
坪単価と延床面積についての詳細は、以下の記事でも確認可能です。
坪単価についての疑問を解決!計算方法・注意すべきことなどをチェックしよう
本記事では、坪単価の主な計算方法や注意点を解説するとともに、新築に必要な費用やその予算の決め方についても紹介します。
【土地も家も購入する方】土地費用込みの場合
土地を取得していない場合、土地の購入または土地付き注文住宅の購入を検討する必要があります。予算に土地の購入を含めた場合、建てられる家の大きさはどれくらいでしょうか。
土地購入も含めて予算が4,000万円以内のケースで、30坪前後の2階建て注文住宅が建てられるか見ていきましょう。
2021年度のフラット35利用者調査資料をもとに、首都圏で土地付き注文住宅を購入した方の、土地購入費と建築費の内訳を紹介します。
土地購入費 | 2,220.9万円(43.3%) |
建築建設費 | 2,911.7万円(56.7%) |
合計 | 5,132.6万円 |
参考:住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」
首都圏で土地付き注文住宅を購入しようとすると、土地購入費が予算の4割強になります。さらに、建築費は約3,000万円です。
一般的には、予算4,000万円以内で首都圏に土地を購入し注文住宅を建てるのは、難しいことがわかります。
ただ、これはあくまでも平均値で、土地の値段は場所や広さによって大きく変わります。
また、建築費についても、家の大きさや仕様に応じて抑えることが可能です。
希望するエリアの土地の価格を把握して、家族に合った広さの家が建てられるかどうか検討してみましょう。
【家だけ購入する方】家の費用だけの場合
土地購入費を含めず建築費のみで4,000万円以内の予算なら、注文住宅の大きさや間取りの理想が叶いやすくなります。30~40坪程度の延床面積から順に見ていきましょう。
30~40坪の注文住宅
30~40坪の注文住宅を建てることが可能で、なおかつ付帯工事も盛り込みやすくなります。
2階建てやコの字・ロの字型住宅、漆喰といった自然素材を採用した家など、選択肢が増えますね。
40坪前後の注文住宅
40坪前後の土地付き注文住宅を4,000万円以内の予算で購入する場合は、坪単価約70~80万円のハウスメーカーに建築を依頼しましょう。
注文住宅の坪単価はハウスメーカーごとに異なりますが、会社ごとにある程度の相場があります。
コストを抑えた注文住宅(ローコスト住宅)を扱う会社 | 約20~30万円/坪 |
工務店 | 約50万円以上/坪 |
大手ハウスメーカー | 約90万円以上/坪 |
40坪の建物の延床面積を坪単価相場に当てはめて計算すると、以下のようになります。
コストを抑えた注文住宅(ローコスト住宅)を扱う会社 | 約800~1,200万円 |
工務店 | 約2,000万円以上 |
大手ハウスメーカー | 約3,600万円以上 |
ローコストの注文住宅を扱う会社で建築を依頼すれば、4,000万円以内の予算で2階建ての住宅を建てられる試算になります。
しかし、設備や建材のグレードを上げようとすると、4,000万円以上かかる可能性があることも覚えておきましょう。
50坪前後の注文住宅
50坪前後の広い家も、建築費予算4,000万円以内で建てられる可能性が高いです。
予算に応じて依頼できるハウスメーカーの50坪の単価上限は、以下のように変わります。
注文住宅購入予算 | 4,000万円 | 4,500万円 | 4,800万円 |
本体工事費 | 2,800 万円 | 3,150 万円 | 3,360 万円 |
50坪の家を建てたときに依頼できる坪単価上限 | 56 万円 | 63 万円 | 67.2 万円 |
実際に、「家~る」が提携する住宅展示場における50坪前後の住宅のご成約事例を紹介しますので、建築計画の参考にしてみてくださいね。
物件例 | |
所在地 | 横浜市瀬谷区 |
土地面積 | 176.19平方メートル(約53.3坪) |
価格 | 3,580万円 |
建ぺい率 | 50% |
容積率 | 80% |
3階建て住宅
狭い土地でも上方のスペースを有効活用する3階建て住宅も人気です。
設備にこだわらなければ、4,000万円以内の予算で約40~45坪程度の3階建て住宅の建築もできるでしょう。
3階建て住宅の坪単価は、建築会社や建物の構造によって以下のように変わります。
ローコスト住宅を扱うハウスメーカーの木造住宅 | 約45~60万円/坪 |
---|---|
大手ハウスメーカーの木造住宅 | 約60~80万円/坪 |
大手ハウスメーカーの鉄骨住宅 | 約70~約100万円/坪 |
住宅の延床面積によっては、大手ハウスメーカーに鉄骨造りの3階建て住宅の建築を依頼するのは、難しいかもしれません。
一方、木造住宅は鉄骨住宅と比較し、坪単価の建築費が下がる傾向です。4,000万円以内の予算でも、3階建ての家を建てられる可能性があります。
予算に土地の取得費用を含めるケースでも、希望の3階建て住宅を建てられる場合もあるでしょう。
二世帯住宅
予算をフルに建築費にあてられる方は、二世帯住宅の検討もできます。
ただし、設備のグレードを落としたり、35~40坪程度の延床面積にするなど、予算配分を考慮した建築計画が必要です。
さらに、二世帯住宅を建てる場合、建物の構造によって坪単価が以下のように変化します。
完全同居型 | 約65~100万円/坪 |
部分共用型 | 約80~130万円/坪 |
完全分離型 | 約85~150万円/坪 |
共用部分がなくなるほど坪単価も高くなりやすいため、二世帯住宅を建築する際は予算や住宅の構造について、家族やハウスメーカーとよく相談しましょう。
4,000万円で理想の家を建てるコツ
予算4,000万円以内で理想の家を建てるには、土地選びや予算配分が重要です。ここでは、具体的な3つの内容について見ていきましょう。
形の良い土地を選ぶ
土地購入時には広さや価格に目がいきがちですが、土地付き注文住宅を購入予定の方は、なるべく形の良い土地を選びましょう。
注文住宅を建てるときの坪単価は、建築するハウスメーカーや工務店によって違いますが、建物の構造や形でも大きく変わります。
建物がシンプルな長方形であれば坪単価は安くなる傾向ですが、以下のような複雑な形の建物は、坪単価が高くなりやすいです。
- 1階と2階で床面積が大きく異なる建物
- 凸凹が大きい建物
土地の形によって建物の形も異なってくるので、形の良い土地を選ぶことで、建築費を予算内に収めやすくなります。
予算配分にメリハリを持たせる
自分や家族にとって絶対に譲れない部分と、こだわりが少ない部分をはっきりさせ、予算配分にメリハリを持たせましょう。
こだわりの少ない箇所はオプションを付けず、設備グレードを下げたプランを選択するなどの対策をすれば、建築予算をある程度抑えられます。
【予算の削減を検討できる施工プラン例】
- ダウンライトではなくシーリングライトを選択する
- 水回りは各階同じ位置にする
- ベランダを広くし過ぎない
- ドアの数を減らす
家の安全性や耐久性には予算をかけ、長く住める家を建てましょう。
二世帯住宅なら完全同居型にする
できるだけ建築費を抑えて二世帯住宅を建てたい方は、家の構造を完全同居型にする方法もあります。
完全同居型とは、キッチンやお風呂、玄関などを親世帯と共有する住宅構造です。住宅設備の数が、必要最低限で済みます。
部屋数が多くなることから、住宅面積が大きい一戸建て住宅を建てるときと、ほぼ変わらない予算で建築できるケースもあります。
一方で、親子世帯の生活空間をしっかり分けたい方は、予算をかけてでも部分共用型の住宅や完全分離型の住宅を建てる必要があるでしょう。
展示場を探す
実際の空間を多くのハウスメーカーで体験してみましょう。予算や家族構成、ライフスタイルなどを考慮しながら、理想の住まいについてお気軽に相談ができます。
4,000万円で家を建てるときのローン返済額の目安は?
4,000万円の予算で家を建てるときの、ローン返済額の目安を紹介します。
将来ライフステージが変わっても、問題なく返済を続けられるローンの借り入れ計画を立てましょう。
頭金なしの場合の月々の返済額
以下の条件は、頭金なしで土地付き注文住宅を建築した例です。
【条件】
- ローン借り入れ額:3,600万円
- 諸費用(土地購入費および建築費の10%で計算):360万円
- フラット35を利用し、35年間固定金利1.880%で借り入れ
- ボーナス返済なし
- 元利均等方式で返済
ローンを3,600万円借り入れする方の月々の返済額は、以下のように計算できます。
【月々の返済額と総返済額の例】
- 月々の返済額:11.8万円
- 総返済額:4,917万円
住宅ローンの月々の返済額は、手取り月収の20%程度にすることで、安定して返済していけるといわれています。
手取り月収が約60万円あれば、月々の返済額が11.8万円でも問題なく返済していけるはずです。
一方で、「月々の返済が家計を圧迫してしまう」と悩む方は、以下の対策を検討しましょう。
- 頭金を増やす
- 金利が低い変動金利の住宅ローンを利用する
- 注文住宅建築の予算を下げる
頭金1,000万円の場合の月々の返済額
頭金1,000万円を用意し、住宅ローンを3,240万円借り入れするときの例も紹介します。
【条件】
- ローン借り入れ額:3,240万円
- 諸費用(土地購入費および建築費用の10%で計算):360万円
- フラット35を利用し、35年間固定金利1.880%で借り入れ
- ボーナス返済はなし
- 元利均等方式で返済
月々の返済額と総返済額は、以下の通りです。
【月々の返済額と総返済額の例】
- 月々の返済額:10.6万円
- 総返済額:4,425 万円
頭金なしの月々の返済額11.8万円と比較して、毎月の返済額を1.2万円、抑えられることがわかります。
住宅展示場で希望の家が予算内で実現するか確認しよう
家を建築する際は、住宅の延床面積や坪単価を考慮した予算配分だけでなく、土地の形や購入するエリアなど、さまざまな選択をしなければなりません。
建築費だけでなく、土地購入時の予算も相談できるハウスメーカーもあるため、まずは住宅展示場に足を運んで質問してみましょう。