注文住宅において人気のスキップフロア。立体感のあるスキップフロアは、スタイリッシュで憧れですよね。しかし、実際のところ、スキップフロアのある家はまだ珍しいのではないでしょうか。今回はそんなスキップフロアのメリットとデメリットをはじめ、活用例や検討時のコツをご紹介します。

スキップフロアとは

スキップフロアとは、ワンフロア内に段差を設けることで空間を有効活用できるようにした間取りのことです。

空間を有効活用する設計

ひとつの階層に複数の異なる高さの床を作った空間のことをスキップフロアと呼び、縦の空間を活かした間取りが特徴です。小上がりを作った小さなスペースから、中2階、屋根裏、ロフトなどもスキップフロアの仲間です。

スキップフロアの間取り例

段差を設けたスキップフロアとは、具体的にどのような場所でしょう。一例をご紹介します。

• リビングの端に床を一段高くした小上がりスペース
• ２階へ続く階段の踊り場を広めにとったスペース
• ビルトインガレージの段差を活用した中2階
• １階から半地下のダウンフロア

スキップフロアはこんな人に人気

注文住宅を考えている人にとって関心の高いスキップフロア。検討のきっかけは大きく分けて２つあります。1つは家を建てたい土地に関する課題解決、もう1つは家の意匠性や機能性の向上です。以下に当てはまる場合はスキップフロアを検討してみてはいかがでしょうか。

狭い土地に家を建てたい人

狭小地に建てたい場合、狭い土地でも空間を有効利用するスキップフロアを採用することで、土地の購入予算を家の建築費用に回すことができます。

傾斜地に家を建てたい人

住みたいエリアによっては、坂が多い地域もありますよね。傾斜のある土地は、平らな土地よりもお手頃価格で買えることもあります。スキップフロアの導入も検討しておけば、購入する土地の選択肢が広がります。

平屋やマンションでも変化が欲しい人

ワンフロアでも空間を緩やかに区切ることで、立体的な空間が高さや開放感を感じられます。段差をつけた一角が空間にメリハリを生み、住まいのポイントに。さらに段差を引き出しなどに活用すれば、収納スペースをより多く確保できます。

おしゃれな家づくりをしたい人

ほかと被らないデザイン性の高い間取りを求める人に。賃貸マンションや建売リ住宅にはあまり見られない仕様なので、住む人の個性が表現できます。

スキップフロアの６つのメリット

スキップフロアにはどんなメリットがあるでしょうか。

おしゃれな空間

個性的でスタイリッシュな住まいづくりにスキップフロアはうってつけ。オーナーのセンスを発揮できる立体感のある構造は、注文住宅ならではの醍醐味といえるでしょう。

収納力アップの間取り

段差を利用して収納スペースを作ることも可能。収納家具を買わずに容積量を増やせるため、見た目もすっきりします。

土地の有効活用

狭い土地や傾斜地に住宅を建てる場合は、横に広い空間を取るのが難しいもの。半地下や中2階などスキップフロアを採り入れれば、限られた土地を最大限に活かして建てられます。傾斜地に家を建てることは眺望や風通しの点でメリットも。

視覚的な開放感

壁部分が少なくなると、圧迫感がやわらぎます。限られたスペースでも、見通しがよく開放感のある家づくりが実現できます。

コミュニケーションの活性化

見通しがよいことで家族の気配を身近に感じるため、気軽に声を掛け合う習慣が生まれます。台所やワークスペースから子どもの様子が見えると、パパやママも安心ですね。

採光効率アップ

間取りの都合で採光しにくいゾーンにも、吹き抜けの効果で外の光を採り入れやすくなります。スタイリッシュな演出はもちろん、明るさにより奥行を感じさせる効果もあります。

固定資産税がお得になるかも？

スキップフロアを設けることで、天井の高さによっては居室とみなされず延べ床面積に入らないため、税制上のメリットがある場合も。

スキップフロアのデメリット

一方で、スキップフロアにはデメリットもあります。

空調の効率ダウン

空間が広くなる分、冷暖房が効きにくく光熱費がかかる点は、家計にも環境にも厳しいところ。また吹き抜けにより高低差ができると温かい空気は上にいくため、階下の方はどうしても寒くなりがちです。

音や匂い、光が広がる

仕切りがないため、楽器の演奏音や話し声は家全体に響きやすくなります。料理の匂いも家全体に広がるでしょう。また、特定の場所を真っ暗にするのが難しいことも。

プライバシーが保たれないことも

テレワーク中の会議などは、家族であっても聞かれたくないもの。また、リビングへ来客時などには、視覚的にわずらわしさを感じるかもしれません。

天井が低くなる部分がある

スキップフロアを採り入れたことで天井が低い部分があると、使う際に腰をかがめることに。狭い場所でも広い場所でも、腰をかがめて作業するのは結構つらいものです。

スキップフロアの導入を後悔しないための対策は？

デメリットへの対策をして、上手にスキップフロアを採り入れましょう。

転落対策

家の中での怪我は意外に多いと言われます。滑りにくい床材を採用する、手すりを備えるなど、安全性を考慮した設計に。場所によっては、小さな子どもが乗り出すことのないよう柵を設置するのも効果的です。

空調対策

全館空調システムという方法もありますが、コストが高い、かといって冷えるのは快適性を損ない健康にもよくないという方は、床暖房を検討してはいかがでしょう。また、ロールスクリーンやスライド式の仕切りをつけるのも一案です。完全ではありませんが、音漏れや匂い漏れ、プライバシーの配慮にも一役買いますよ。

床の補強

大量の本や重いピアノを置く場合は、床の補強をしましょう。

ライフスタイルの変化

家族の成長とともに、ライフスタイルも変化します。年齢を重ねたときに利便性はどうかなど、将来を見据えた設計に。

スキップフロアの活用例

スキップフロアはアイデア次第でいろいろな使い方ができます。必要に応じて各種配線やコンセントの配置も忘れないようにしましょう。

ワークスペース

カウンターや棚をしつらえてテレワークスペースに。独立したエリアなら、家族への目配りをしながら仕事にも集中できるでしょう。

図書スペース

本棚とソファを置いて、大人も子どもも楽しめる読書スペースに。本の量によってはかなり重くなることも。床の補強を忘れずに行いましょう。

キッズスペース

クッションフロアや畳を敷いて子どもが遊べるスペースに。台所やリビングから目が届く場所に設計するのが大切です。リビングにおもちゃが散らからないので、急な来客があっても安心ですね。成長に応じて、楽器の練習や勉強スペースにも活用可能です。子どもが小さいうちは転落防止策も忘れずに。

家事スペース

家事動線にマッチすれば、中2階にランドリースペースやアイロンスペースを設けるのもよいでしょう。

エクササイズスペース

エクササイズグッズやマットなどを置き、トレーニングスペースにするのはいかがでしょう。グッズを出したりしまったりする手間が省ければ、いつでもだれでも気軽にワークアウトできます。

収納スペース

スキップフロアそのものを収納スペースにするケースや、段差の下のデッドスペースを収納スペースにするケースがあります。床下収納をはじめ、引き戸や開き戸式の収納棚、引き出し、オープンラックなどにアレンジすることで、限られたスペースを最大限に生かすことができますよ。

和室スペース

間取りに和室を配置することができなくても、リビングにおしゃれな畳スペースを設ければ、足を伸ばしてゆったりできます。さらに、畳の段差の下部分を床下収納や引き出し収納にすれば利便性もアップ。段差に腰かけてくつろぐのもいいものです。

趣味のスペース

手芸などの作業スペースや、コレクションのギャラリースペースにも。子どもが学校から持ち帰ってきた作品を飾るスペースなどにしてはいかがでしょう。散らかりがちな作品も一カ所にまとめればすっきり！

スキップフロアは、モデルハウスをのぞいてみよう！

スキップフロアに興味を持ったら、画像や動画だけでなく実物を見ることをおすすめします。

空間を体感できる

ハウスメーカーや工務店のモデルハウスなら、空間のつながりや視線の広がりなどが感じられます。階段を上り下りしたり、家族で声を出して呼び合ったりしてみるとよいでしょう。階下や階上からの見え方、声の響き方などは、モデルルームだからこそ確認できるポイントです。

イメージがわく

本当に採り入れるべきか冷静に判断できるのもモデルハウスならでは。天井の高さや段差の安全性が、家族の身長や生活習慣と合うかどうか、現場でシミュレーションしてみましょう。

活用アイデアが広がる

モデルハウスのスキップフロアの活用例を見ることで、我が家ならこんな使い方をしたい、とアイデアが広がります。家族それぞれが趣味を充実させたり、新たなワークスタイルに挑戦したり、ライフスタイルの発展につながるかもしれません。

展示場なら比較検討ができる！

住宅展示場には複数のハウスメーカーや工務店のモデルハウスが建てられているため、一カ所でいくつかの事例を見られるのがメリットです。さらに、土地の利用や建築には、建築基準法や都市計画法などの法律や自治体の条例による制限があります。税法上の情報に明るく、スキップフロアの設計や施工が得意なメーカーを見極めて選ぶことも重要です。

スキップフロアを知って後悔しない家づくりを！

スキップフロアを検討するなら、複数のハウスメーカーや工務店のモデルハウスを一カ所で見ることができる住宅展示場に出かけるのがベスト！　まずは、住みたいエリアの展示場をのぞいてみてくださいね！